ブログ

専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第462回】ファイナンシャル・プランナー
駒﨑 竜が斬る!①

投資用不動産を
売却すべきタイミングの見極め方について

賃貸経営をされているオーナーの皆様、こんにちは。
ファイナンシャル・プランナーの駒崎です。
今月の特集では、4週にわたり、
投資用不動産の「出口戦略」についてお届けします。
10年、15年と物件を保有していると、
「このまま持ち続けるべきか、今が売り時なのか」
という悩みに直面される方も多いのではないでしょうか。

第1週は、投資用不動産を売却すべき
タイミングの見極め方について解説いたします。

■ 売却を検討すべき5つのポイント
投資用不動産の出口戦略を成功させるには、
売却すべきタイミングを見逃さないことが重要です。
以下の5つのポイントのうち、
複数に該当する場合は、
具体的な検討を始める時期かもしれません。

1. 減価償却期間の終了が近づいている
RC造マンションの法定耐用年数は47年、
木造アパートは22年と定められています。
減価償却期間が終了すると、
それまで経費計上できていた減価償却費がなくなり、
課税所得が大幅に増加します。

特に注意すべきは「デッドクロス」の発生時期です。
これはローンの元金返済額が減価償却費を上回る状態を指し、
帳簿上は黒字でも実際のキャッシュフローが悪化する現象です。
元利均等返済ではローン返済の後期に元金の割合が増えるため、
減価償却期間の終了時期と重なると税負担が急増します。

売却の適正時期として、
減価償却期間が残り7年程度のタイミングが一つの目安となります。
買い手が十分な減価償却メリットを享受でき、
かつ将来的に長期譲渡所得として売却できる期間が確保できるためです。

2. キャッシュフローの悪化が見られる
投資用不動産のキャッシュフロー悪化には、
明確な3つの兆候があります。

第一に空室率の上昇です。
周辺に競合物件が増加したり、
賃貸需要が低下(購入需要が増加)したりすると、
空室期間が長期化します。
空室期間が3ヶ月以上続く場合は、
適正な賃料への見直しや、
設備のグレードアップなどによる差別化が必要です。

第二に修繕費の増加があげられます。
築10年を超えると給湯器や空調設備の交換、
築15年以降は外壁塗装や防水工事など大規模修繕が必要になります。
年間修繕費が家賃収入の15%を超えた時点で、
売却を検討する価値があります。

第三の兆候は実質利回りの低下です。
表面利回りは変わらなくても、
管理費や修繕費の上昇により実質利回りが3%を下回ると、
投資効率が著しく悪化します。
これらの兆候が複数重なった場合は、
早期の売却検討が賢明です。

3. 保有期間5年超で長期譲渡所得の優遇を受けられる
投資用不動産を売却する際、
保有期間によって税率が大きく変わります。
保有期間5年以下の短期譲渡所得には39.63%、
5年超の長期譲渡所得には20.315%の税率が適用されます。

この約19%もの税率差は、
売却時の手取り額に大きな影響となります。
例えば、1,000万円の譲渡益が発生した場合、
短期では約396万円の税金が発生しますが、
長期なら約203万円で済みます。
その差額は193万円にもなります。

ただし、保有期間の計算には注意が必要です。
譲渡した年の1月1日時点で5年を超えている必要があるため、
実際には購入から5年数ヶ月以上の保有が必要となります。
正月を6回迎えたら長期譲渡となります。

【今週のポイント】
・減価償却期間残り7年程度が売却の一つの目安
・キャッシュフロー悪化の3つの兆候に注意
・保有5年超で約19%の税率優遇を活用

来週は、保有継続と売却の収支を正確に
比較する計算方法をお届けします。

ABOUT ME
駒﨑竜
駒﨑 竜(Komazaki Ryu) 経済力コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー エターナルフィナンシャルグループ(株)  代表取締役 エターナルウェルスマネジメント(株) 代表取締役 一種外務員、貸金業務取扱主任者、 二級FP、損害保険大学、生命保険大学 マネーの達人・週刊ダイヤモンド・価格ドットコム・KINZAI・ 不動産日記(税金の手引き)・税の知識(相続贈与)・ 住宅新法(事業資金調達)・住宅ローンアドバイザー通信など、 専門家としての執筆、監修をしている。
さらに詳しく知りたい方へ