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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第426回】不動産鑑定士・住宅診断士
皆川 聡が斬る!①

家賃値上げの方法と注意点について

こんにちは、今月担当の不動産鑑定士・住宅診断士の皆川聡です。
今回と次回との2回に分けては、
家賃値上げの方法と注意点について、記載させていただきます。
アパート経営において、
家賃の値上げは収益を増加させる手段として重要ですが、
適切なタイミングと方法を選ばなければ、
入居者の退去や空室率の増加を招く恐れがあります。
家賃を引き上げる際には、周囲の市場環境や物件の状態を十分に評価し、
慎重に進めることが求められます。
ここでは、家賃値上げの方法とその際に考慮すべきポイントを解説します。

1. 市場調査を徹底する
家賃の値上げを検討する際、
まずは周辺の賃貸市場を徹底的に調査することが基本です。
近隣の同等の物件と比較し、
現在の家賃が市場の相場に合っているか確認しましょう。
市場相場に見合っていない場合、
値上げの余地があるかもしれません。
しかし、無理に家賃を上げすぎると、
退去を招く恐れがありますので、
周囲の市場に合わせた慎重な判断が求められます。

2. 不動産鑑定士の活用と建物の調査
家賃の適正な評価を行うためには、
不動産鑑定士を活用することが非常に有効です。
しかし、鑑定士の役割は単に
市場相場を調査することにとどまらず、
物件そのものの状態や価値を十分に
反映させた評価を行うことが重要です。
特に、建物の劣化状況や設備の新旧、修繕履歴など、
物件の詳細な状況を踏まえた上で適正な家賃評価を行うことが
求められます。
不動産鑑定士は、物件の現状を調査し、
劣化状況や老朽化した設備、
大規模修繕の有無やその状況なども考慮しながら、
市場価値を算出します。このような調査を通じて、
建物の価値が過大評価されたり過小評価されたりすることなく、
より正確な家賃設定が可能となります。
特に、古い物件や特殊な条件を持つ物件の場合、
建物の状態を反映させた正確な評価が重要です。

3. 値上げの理由を明確に伝える
家賃の値上げを入居者に納得してもらうためには、
改定の理由を明確に伝えることが不可欠です。
値上げの理由としては以下のようなケースが考えられます。

•物件の改善やリフォーム: 部屋のリフォームや新しい設備の導入を行った場合、
その費用を家賃に反映させることができます。

•運営コストの上昇: 固定資産税や管理費の増加など、
運営コストが増加した場合、それに応じた家賃改定が必要になります。

•地域価値の向上: 近隣の商業施設や交通インフラが発展し、
物件の立地条件が良くなった場合、家賃を引き上げる正当な理由となります。
これらの理由を入居者にきちんと説明することで、理解を得やすくなります。

今回はここまでとさせていただきます。
皆様のお持ちの物件の資産形成の一助としてご活用いただきまして、
少しでも皆様のご参考になれば幸いです。
今回も最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございます。

ABOUT ME
皆川聡
株式会社Aoi不動産鑑定 大手不動産鑑定会社に約8年従事し、メガバンク、政府系金融機関、地銀、信用金庫、信用組合などの金融機関の担保評価をメインに約2500件の案件を携わり、国際線ターミナルの評価の実績もあり。 退職後、平成27年4月に開業。 開業後は、税務対策の鑑定評価や裁判調停等の鑑定評価での多数実績。住宅診断を反映した鑑定評価にて、より清緻な鑑定評価を行っており、鑑定評価額だけではなく、皆様の建物の日ごろのメンテナンスのポイントなどもご提案し、ご好評をいただいております。また2020年10月には、相続税の還付請求にて、他の不動産鑑定士が国税不服審判所にて否認された案件を、その後当職が不動産鑑定を担当。圧倒的な不動産鑑定評価により、東京地裁において、国税庁との裁判で無事完全勝訴しております。
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