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Q未償却残高がある建物を解体した場合、解体費用は全額必要経費になりますか。

アパート1棟(6室)を個人で所有していましたが、築40年近くなるため、建て替えを考えています。青色申告の本に、「建物を取り壊した場合の未償却残高を必要経費に計上できるが、事業的規模でないと、損失の金額を計上する前の不動産所得金額が限度になる」と書いてあります。解体費300万円かかるのですが、全額経費にはできないのでしょうか?

A

資産損失とは、建物などの資産を取り壊しや滅失などにより消滅する場合に、資産の未償却残高(まだ減価償却されてない部分の簿価)を経費に計上できる取り扱いのことをいいます。この資産損失とは、「資産そのもの」について生じた損失の金額に限られ、資産損失が生じたことに伴い支出する関連費用は含まれません。つまり、解体費用は、資産損失ではなく、通常の必要経費になります。ですから、事業的規模にかかわらず解体費用は全額経費に計上できます。資産損失についての処理ですが、複雑なので具体例で考えてみたいと思います。
例えば、不動産所得の金額が350万円あった場合に、建て替えのために建物を解体する場合、この建物の未償却残高が100万円、解体費用が300万円とすると、350万円の所得から300万円の解体費用は控除できます。(マイナスになっても控除可能)残りの所得50万円ですが、ここから資産損失として100万円控除できるかどうか、です。
・賃貸経営が事業的規模なら、50万円-100万円=-50万円になります。
(-50万円は他の所得と損益通算されるか、青色申告なら繰越控除の対象になります)
・賃貸経営が事業的規模でなければ、50万円-50万円※=0になります。
※ 50万円(資産損失控除前の所得)<100万円(資産損失) ∴50万円