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【第405回】弁護士 関 義之が斬る!     「株式会社の定款の見直しについて」 その4

●「株式会社の定款の見直しについて」

こんにちは。弁護士の関です。

今月は「株式会社の定款の見直しについて」を書いていきます。

●定款の見直しの手順

最後に定款の見直しをする場合の手順についてご説明します。
まずは定款を探してください。
金庫の中などを探しても会社内にない場合には、
公証役場や法務局で保管期限を超えていなければ調べることができます。
原始定款しか見つからない場合には、
遡って過去の株主総会議事録を確認すると、
変更内容が分かります。
そもそも原始定款すらない場合には、
最新の内容であると会社が考える内容の定款を準備して、
定款変更の手続により新たに定めるほかありません。

定款を見直す際には、
必ず会社の登記を確認するようにしてください。
登記事項(後述)でもある定款内容は、
登記に最新の内容が反映されています。
従って、定款を見直す際に、
登記内容と齟齬が無いようにする必要があります。
この登記内容自体を修正したい場合には、
定款もそのように変更した上で、変更登記申請が必要になります。

全体的に定款の見直しをする際は、
会社法のルールや具体的にどのような定款の定めができるのかの知識が必要です。
そのため、大家さんとしては、
弁護士や司法書士などの専門家に依頼して見直しをするのが
一般的かと思います。
もしも、自分で行いたいという場合には、
具体例が豊富な定款の書式集を購入し、
一つ一つどのような定めができるのかを確認しながら、
自社にとって修正が必要かどうか、
必要な場合にどのような内容にするかを検討していくとよいでしょう。

●定款変更の手続

定款を変更(現条項の変更・削除、新条項の付加)するには、
原則として、株主総会の決議が必要です(会社法466条)。
この決議は、過半数の賛成で足りる普通決議(同法309条1項)ではなく、
3分の2以上の賛成が必要な特別決議(同条2項)となります。
ほかに内容によっては、より厳格な決議要件である特殊決議や
全株主の同意が必要な場合もあります。
なお、会社の設立時と異なり、公証人の認証は不要です。

また、定款の条項には、登記事項とそうではないものがあり、
変更した条項が登記事項であるときは、定款変更の決議をした後、
2週間以内に、変更の登記をしなければなりません(会社法915条1項)。
定款変更に伴い変更される登記事項としてよくみかけるのは、
目的、商号、発行する株式の内容(株式の譲渡制限に関する定め)、
株券発行会社であるときはその旨、
取締役会設置会社であるときはその旨、
監査役設置会社であるときはその旨、
監査役の監査の範囲を会計に関するものに
限定する旨の定款の定めがある株式会社であるときはその旨などです。

株主総会を開催した後は、議事録を作成します(会社法318条1項)。
定款変更が登記事項にかかる場合には、
この株主総会議事録が登記申請の添付書面となりますので(商業登記法46条2項)、
変更箇所の新旧対照表を作成し、議事録の本文に記載するか、
別紙として添付するなどして、変更内容を明確にする必要があります。
なお、旧商法時代の古い原始定款を会社法のルールに則り全体的に見直す場合には、
ほとんど作り替えるようなものであり、新旧対照表を作成するのは大変に煩雑です。
このような場合には、株主総会議事録に、
定款変更後の最新の定款を別紙として添付し、
議事録の本文には、特に登記事項を明確にするために、
「株券発行の定めの廃止」「取締役会設置の旨の廃止」などと
変更内容が分かるように明示しておけば足りるようです。
変更登記の申請書類、添付書類に関しては、
詳しくは、法務局や司法書士にご確認ください。

ABOUT ME
関 義之
「関&パートナーズ法律事務所 代表弁護士」 平成10年 3月に早稲田大学法学部を卒業し、 その年の10月に司法試験に合格。 1年半の司法修習を経て、平成12年10月から弁護士登録。 平成23年10月から中小企業診断士にも登録。 法人・個人を問わず幅広く紛争に関する相談を受け、 代理人として示談交渉や訴訟等に対応するほか、 契約書の作成・チェック等、 紛争が生じる前の予防法務にも力をいれている。 不動産の賃貸・売買や、 遺言・遺産分割・遺留分など相続に関する相談を、 幅広く受けている。 特に力を入れている分野は、中小企業の事業承継支援。 セミナー経験多数。 詳しくはWebサイト参照  https://seki-partners.com/
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