東京の中心で税務を叫ぶ 第174 回コラム
減価償却せずに売却すると譲渡税は下がる?
そもそも減価償却せずに売却すると譲渡税は下がる?
について、お話しします!
こんにちは!
今回は、減価償却を忘れていた場合の
譲渡税への影響についてお話します。
まず、譲渡税の対象となる譲渡所得は、以下の式で計算されます。
譲渡所得 = 売却金額 - (取得費 + 売却諸費用)
・売却金額:実際に物件を売却した価格
・取得費:税務上の物件価値(購入価格から減価償却費を差し引いた金額)
・売却諸費用:仲介手数料、印紙税など売却時にかかった費用
譲渡所得を計算する際の取得費は、
建物の場合は、購入価格をそのまま使用するのではなく、
減価償却後の金額を使用します。
もし減価償却していなければ、取得費が大きくなり、
譲渡所得も少なくなる、ということになります。
ただし、実際には、個人事業主の大家さんは、
このようにはなりません。
個人が所有する建物の場合、減価償却費の計上は義務であり、
たとえば「今年は利益が出ているから減価償却をしない」
ということはできません。
毎年、耐用年数に応じて機械的に計算された
減価償却費を計上しなければなりません。
この計算は強制償却と呼ばれます。
もし、過去の確定申告で減価償却費の計上を忘れていたとしても、
売却時には、本来計上すべきであった
金額を差し引いて取得費を計算しなければなりません 。
国税庁ホームページにも
「仮に毎年の減価償却費の額を必要経費としていない部分があったとしても、
毎年の減価償却費の合計額とすることに変わりはありません」
と明記されており、この点は見落としがちなので注意が必要です。
このように、個人事業主の場合は、
購入時に取得価額と耐用年数を決めたら、
その後、オーナーの意思で減価償却をコントロールすることは
できないということです。
まとめ
①個人事業主の減価償却は、強制です。
②減価償却を忘れても減価償却したものとして譲渡税は計算します。
③ちなみに、法人は強制償却ではないため、
実際の減価償却後の金額を使用します。
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