~分譲マンション投資の魅力~
前回は、外壁のひびの幅と
場所と手当ての跡という三つの視点を挙げました。
今回はそのうちの場所を掘り下げます。
実は、マンションの外壁は、
どこに割れるかがあらかじめ決められています。
1.設計者は、割れる場所を指定している
外壁を眺めると、
一定の間隔で細い縦の溝が入っています。
装飾のように見えますが、あれは仕掛けです。
誘発目地と呼ばれます。
文字どおり、ひび割れを誘い出すための目地です。
コンクリートは必ず縮み、必ず割れる。
ならば、どこに割れるかを
設計の側で決めてしまおう。そういう発想です。
あらかじめ弱い線を刻んでおけば、力はそこに集まります。
ひび割れは目地に沿って生じ、他の場所は守られます。
割れやすい場所は、経験からわかっています。
壁と手すりのように躯体の高さが変わる箇所。
窓などの開口部の周り。柱型の周囲。
各階の床コンクリートの打継ぎ部分。
こうした箇所には、はじめから目地が用意されています。
ですから、目地に沿った割れは想定内です。
設計の予定どおりに割れている、ということです。
逆に、目地を無視して壁の真ん中を走る一本は、
予定外の出来事です。場所を見るとは、
この二つを見分けることなのです。
2.想定内でも、放置してよいわけではない
ただし、目地なら安心という話ではありません。
想定内のひび割れであっても、
放置すれば雨水が浸入し、
コンクリートの劣化を進めます。
そこで見ておきたいのが、
目地を埋めているシーリング材です。
弾力のあるゴム状の材料ですが、
耐用年数は十年ほどです。
コンクリート自体は五十年以上もつのに、
目地の詰め物は十年で寿命が来る。
ここが手当てされているかどうかで、
管理の姿勢が見えてきます。
痩せて隙間ができていないか。
硬く縮んで切れていないか。
の届く高さで確かめられます。
3.警戒すべき三つの場所
目地から離れたひび割れのうち、
特に注意したいものを挙げます。
一つ目は、窓や玄関の四隅から斜めに走るものです。
建物が揺れたとき、力が最も集中する場所です。
しかも雨水がサッシ脇を流れるため、
漏水に直結しやすい。
細く見えても、
奥深くまで達している場合があります。
二つ目は、地面と平行に走る横方向のものです。
上を向いた面に水が溜まるため浸水しやすく、
鉄筋の腐食が疑われます。
三つ目は、柱や梁に入ったものです。
遠くからでも目につく割れがあれば、
建物を支える部材そのものの問題です。
管理会社に点検を求める水準だと考えてください。
あわせて、ひび割れに添うサインも見ます。
茶色い筋が垂れていれば内部の鉄筋はすでに錆びており、
コンクリートが剥がれて鉄筋が見えていれば爆裂です。
どちらも幅を測るまでもありません。
4.バルコニーの割れは、誰の問題か
内見のとき、
間近で外壁を見られる場所があります。
バルコニーです。
ここで押さえておきたいのは
バルコニーが共用部分だという点です。
専用使用権が認められているため自室の
一部のように感じますが、
区分所有法上は共用部分です。
つまり、手すり壁や床にひび割れを見つけても、
自分で業者を手配して直すことはできません。
補修は管理組合の領域です。
だからこそ、
これは自分の課題ではなく、
管理組合を測る材料になります。
壁と手すりの境目は割れやすい代表格ですから、
割れがあること自体は驚くに値しません。
見るべきは、放置されているのか、手を打たれているのかです。
5.まとめ
目地に沿う割れは、建物の予定表どおりの出来事。
目地を無視する割れは、予定になかった出来事です。
同じ一本の線が、場所によってまったく別のことを語ります。
だから外壁は、
離れて全体の目地の並びを見てから、
近づいて一本ずつ確かめることが重要です。



