東京の中心で税務を叫ぶ 第232回コラム
税理士がよく使う「通達」って何?
税理士がよく使う「通達」って何?
についてお話しします!
こんにちは!
大家さんから「税理士さんが『通達では〜』
って言うんだけど、通達って何ですか?」
と聞かれることがあります。
実は、大家さんがよく耳にするあのルールも、
法律ではなく「通達」に書かれているんです。
■ 「5棟10室」は法律に書いていない?
アパートなら10室以上、
戸建てなら5棟以上あれば「事業的規模」とされ、
青色申告特別控除65万円や家族への給与(専従者給与)が
使えるようになる。
大家さんならおなじみのルールですよね。
ところが、
このルールは所得税法のどこを探しても出てきません。
書かれているのは「所得税基本通達」という、
国税庁の文書の中なんです。
■ 基本通達って何?
通達とは、
国税庁長官が全国の税務署の職員に向けて出す
「この法律はこう解釈して、こう運用してください」
という指示書のことです。
法律の文章は抽象的なので、
北海道の税務署ではOK、
沖縄の税務署ではダメ、
では不公平ですよね?
そこで、全国で同じ判断ができるよう統一
マニュアルを作っているわけです。
その中でも、各税目の基本的な解釈をまとめたものを
「基本通達」と呼びます。
所得税、法人税、相続税、消費税などの基本通達があり、
国税庁のホームページで誰でも見ることができます。
■ 通達は「法律」ではない
ここが一番大事なポイントです。
通達はあくまで国税庁の「内部の指示書」なので、
私たち納税者や裁判所を縛るものではありません。
令和4年には、相続直前に多額の借入をしてマンションを購入し、
通達どおりの低い評価額で相続税を大きく減らそうとしたケースで、
最高裁が「通達どおりの評価は認めない」と判断しました。
「通達に書いてあるから大丈夫」という節税は、
通用しないこともあるんです。
■ それでも大家さんが通達を知っておくべき理由
とはいえ、税務署の職員は通達に沿って判断します。
通達を知ることは「税務署がどう考えるか」を知ることなんです。
身近な例が修繕費です。修繕費ならその年に全額を経費にできますが、
建物の価値を高める工事は「資本的支出」として、
何年もかけて減価償却することになります。
この線引きは難しいので、通達では次のような目安を示しています。
・1回の工事が20万円未満なら、修繕費でOK
・おおむね3年以内の周期で行う修繕なら、修繕費でOK
・どちらか分からないときは、60万円未満なら修繕費でOK
面白いのは、どれも「修繕費として申告しているときは、
これを認めるものとする」と書かれていることです。
「申告してきたら認めてあげてください」という、
まさに職員向けの書き方なんですね。
なお、20万円や60万円は「1回の工事ごと」の金額で、
1年間の合計ではありません。
誤解している大家さんが多いので注意してください。
①基本通達は、国税庁が職員向けに出す「法律の解釈マニュアル」
②「5棟10室」や修繕費の目安など、
身近なルールの多くは通達に書かれている
③通達は法律ではないので、裁判で否定されることもある
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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。





