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リーゼント先生のやさしい相続
第七回「いますぐ分かる!相続時精算課税制度の基礎」

相続税の節税の基本である贈与税の活用。

贈与税の本来の役割は「相続税の弱点を補完すること」です。
「第6回相続税の節税の基本。贈与税を知ろう!」をご参照下さい。)

しかし、平成15年に景気対策の一環としてお金を使いたいけどお金がない次世代に効果的に財産の移転をさせ、経済の活性化を図るべく贈与による資産の移転を円滑にするため相続時精算課税制度が導入されました。

本稿では、その相続時精算課税制度の基礎をまとめていきます。

1.概要

相続時精算課税制度とは、原則として一定の贈与者から、一定の受贈者に対し、財産を贈与した場合に選択をすることができる贈与税の制度です。

2.受贈者の要件

財産を取得する受贈者の要件は、原則として

①贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること
②贈与者の直系卑属である推定相続人であること

とされています。
推定相続人とは、贈与時に贈与者に相続があった場合に相続人となる者をいい、贈与者の子や代襲相続人となる孫などが該当します。
なお、現在は相続時精算課税制度の特例により、贈与者の直系卑属である推定相続人以外に「贈与者の孫」についても適用対象者とされています。

また、一定の非上場株式等を取得する場合についても特例がありますが、本稿では割愛をします。

3.贈与者の要件

贈与者については、

①贈与をした年の1月1日において60歳以上
②(受贈者の要件②から)受贈者の父母や祖父母などであること

が要件とされています。

4.相続時精算課税の選択

受贈者ごと、贈与者の異なるごとに選択をすることができます。
よって、父から長男と長女が同時に贈与を受けた場合には、長男と長女で別々に相続時精算課税と暦年課税を選択することができ、祖父母から孫が同時に贈与を受けた場合には、祖父からの贈与について暦年課税を選択し、祖母からの贈与について相続時精算課税を選択することができます。

5.手続

受贈者は、相続時精算課税を選択する最初の贈与を受けた年の贈与税の申告書の提出期間内(2月1日から3月15日まで)に納税地の所轄税務署長に相続時精算課税選択届出書と受贈者の戸籍謄本などの一定の書類を贈与税の申告書に添付をして提出することが必要とされています。

6.適用対象となる財産の範囲

贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。

7.贈与税額の計算

相続時精算課税を選択した受贈者(相続時精算課税適用者)については、選択年以後は相続時精算課税に係る贈与者(特定贈与者)とそれ以外の贈与者からの贈与財産を区分して贈与税の計算をすることになります。

具体的には、相続時精算課税に係る贈与については

(贈与税の課税価格-特別控除額(2,500万円))×税率

により計算されることとなり、特別控除額を超える部分の金額に一律20%の税率により贈与税が課税されることとなります。

なお、特別控除額は特定贈与者ごとに2,500万円が適用され、複数回による贈与であっても2,500万円に達するまで控除をすることができます。

8.相続時精算課税を選択する場合の注意点

相続時精算課税は一度選択をすると撤回をすることができません。また、贈与を受けた財産については特定贈与者の相続時に相続税の課税対象となります。

まとめ

相続時精算課税制度を上手に活用することができれば、節税とともに財産を次世代に効果的に移転をすることができます。反面、手続きを含めて注意点も多いので、選択をする場合は税理士に相談をしてから判断するようにしましょう。

次回はメリットとデメリットなどについてまとめていきます。

ABOUT ME
羽藤徹夫
羽藤徹夫
税理士法人 大石会計事務所所属。 高校卒業後は主にガテン系の肉体労働に従事。体力の限界を感じ、税理士試験の勉強を開始。合格を機に税理士試験の受験専門学校へ転職。大原簿記専門学校で相続税法、法人税法の教鞭をとった経験を元に、相続税をやさしくわかりやすく解説。
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