税務調査って不安でしょうか?
「調査が不安でしょうがない。」
「税務調査でひどい目にあった」
とは税務相談や、新規の顧問先の方から多々言われます。
私の様な税理士はお客様の税務調査に「立ち会い」といって、
税務署の調査官とお客様とのクッション役として調査に立ち会うことが年に数回あります。
今回は、私が10年程前の駆け出しのころ税務調査に立ち会った時のお話を書きたいと思います。
「立ち会い」依頼は、税理士会の支部からありました。
「税務署に入られて、何を言っているかわからない。」
「税理士を派遣してもらえないか?」
という。名古屋市内で3棟の共同住宅をお持ちの60代の大家さんからの相談でした。
不動産賃貸業の方への税務調査は、税務署は積極的に取り組んでいるとは言えず。
全体でみれば数%の方しか、税務調査には入られません。
ただ、この方は贈与税の申告の間違いと、個人事業、更には株取引もされていて調査に入られました。
ポイント①【税金の種類が多いと調査に入られやすい】
税務署は忙しいところです。
税務調査も、会社・相続・個人事業主・無申告者など多くの対象を調査しなければなりません。
問題のないところや業種、シンプルな所(所得税だけ法人税だけといった対象税目が少ない)は後回し、より税金が取れそうなところを優先的に調査します。
例えば、家も建てた、土地や株式の取引で多額の利益が出ていた。会社も経営していて消費税も課税されている。個人事業主で不動産賃貸業もやっている。なんて方は調査に入られやすいと思ってください。
例えば、日本にある会社で申告書を提出した数は、
平成28年事務年度(平成27年7月から平成28年6月)で286万社ありました。
その中で、法人税調査件数は9万7000件でした。
(国税庁:「平成28事務年度法人税等の申告(課税)事績の概要」、「平成28事務年度 法人税等の調査事績の概要」(平成29年10、11月発表)より)
割り算すると97,000件÷2,860,000社=3.39%の調査割合です。
ですので、1年間でみれば100社の会社があって3.3社しか調査にはいられない計算になります。
30年間会社を経営して100%(3.3%×30年間=101.7%)になります。
会社を経営していて、この割合です。
個人で大家さんをやっている場合は、もっと低い確率だと考えて良いでしょう。
ただ、数種の税金が重なると確率が重なって上がっていきます。
今回相談のあった方は、その典型例でした。
(次回以降に続く)
まとめ
・大家さんが税務調査を受ける可能性は低い
・色々な税金が重なると調査されやすくなる
(不動産所得と会社(法人)、個人事業、相続税、贈与税、(土地・株式などの)譲渡所得税、消費税、印紙税など)