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岩松正記の数字・大事・いい感じ!
第十五回「支払はすぐする?あとにする?」

経理処理とキャッシュフロー(お金の流れ)の関係についてはこれまでも述べてきていますが、今回はより実務的な説明をします。

1.業者支払の前提とは?

(1)請求書を確認

業者さんへの支払いはもちろん、電気代や水道代であっても、基本的には請求書に基づいて支払うものです。この場合に注意しなければならないのは、「請求書の金額は絶対ではない」ということです。これは何も値段交渉しろということではなく、その請求金額が正しいものなのかどうか、中身を確認しましょう、ということです。副業的に大家業を始めた方に多いのですが、請求書が来たからといってその中身を確認せずにそのまますぐに支払ってしまう、というケースが見受けられます。請求書が来たからすぐ支払うというのは、キャッシュフロー上はもちろん、経営的にもやってはいけないことの1つです。

(2)入金の前?後?

ではどうしたらいいのか。キャッシュフロー上は、入金があった後に支払をするのが望ましい姿です。大家業にとっての入金は家賃ですから、家賃の入金を待って、その中から支払うというのが最も合理的だ、ということになります。もっとも多くの場合、物件の修理代などは管理会社に依頼していることが多いので、それらの支払いはそもそも家賃収入から先に引かれて支払う形になります。従って特に意識しなくとも、入ってくるお金から支払をしていることになりますのでキャッシュフロー上は影響を感じません。

2.支払は先へ伸ばす?

(1)支払のルールを決める

一般の会社ですと支払いにはルールがあり、その月の締め日までに届いた請求書に対し中身を吟味し、問題が無ければ自社の支払い日に支払う、となります。この「締め日と支払い日」は支払う方が自由に決めていいもので、例えば25日締めの末日支払とか、月末締めの翌月5日支払や10日支払などというものがあり、中には月末締めの翌月末支払、などというものもあります。キャッシュフロー上は支払を先へ延ばせば延ばすほど、手元にお金がある状態が続くので資金繰りは良くなります。だからと言って当月の支払を半年先にする、なんてことはできませんので、家賃収入などの入金の中から月末などに支払う、というのが多くの処理方法です。

(2)大家業も経営感覚が大事

入金が先で支払があとになれば、資金繰りに悩むことは少なくなります。大家業の場合、家賃収入は翌月分が「前家賃」として先に入ってくる場合がほとんどですから、基本的に資金繰りには非常に有利なビジネスモデルであると言えます。しかしだからこそ、キャッシュアウトである支払いはつい気を向けなくなりがちで、のべつ幕無しに支払いをしてしまいかねません。定期的な出金となる借入金の返済も、本来は引き落とし日に注意しなければなりません。安定収入が魅力の大家業だからこそ、入出金のタイミングは常に意識し、経営しているのだという感覚を持つようにしたいところです。

3.まとめ

大家業は入金が先で支払が後という、理想的なビジネスと言えます。だからこそキャッシュフロー特にキャッシュアウトには注意し、手残りを増やすという本来の意義を忘れないようにしましょう。

ABOUT ME
岩松正記
相談指名数東北・北海道地区1位になったこともある税理士。 山一證券の営業、アイリスオーヤマの財務・マーケティング、ベンチャー企業の上場担当役員等10年間に転職4回と無職を経験後に開業。地方在住ながら東京から米国・東南アジアにまで顧客・人脈を持つことから、税務だけでなく様々な投資情報の提供も行っている。ロータリークラブ、青年会議所等で役員を歴任。 税理士会の役員に就く他、元査察の税理士に仕えていたため税の世界の裏事情にも詳しい
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