不動産の代名詞といえば土地ですが、その土地に関係する支出には経費にできるものとできないものがあります。今回はその区別について説明します。
1.土地は資産
(1)減価償却できない
土地は減価しない、というのが税務上の前提です。地価が上がっても下がっても、それを帳簿上に反映させることはしません。
あくまでも処分した際(売却した際)に売却益・売却損を計上しますので、土地は帳簿上、含み益や含み損を抱えていることになります。これ自体は大家業には影響が出ません。
(2)土地と言えば固定資産税
土地を持っているだけで課税されるのが固定資産税です。これはその年の1月1日時点での所有者に対してかかる税金で税率は1.4%、購入価格に対して課せられるのではなく、市町村が決める固定資産税評価額に対して課せられます。大家業の場合、自宅部分を除く不動産事業部分に関する固定資産税は、当然に経費になります。
しかしながら、土地を購入した場合に売主に対し買主が引渡し以降の固定資産税相当額を「精算金」として支払うことがありますが、これは売買金額の一部とみなされるので経費にならず、売買金額に入れますので要注意です。
2.土地購入時は要注意
(1)仲介手数料は経費にならない
これは土地の購入時に注意しなければならない点の一つです。手数料ということで必要経費にしがちですが、これは購入代価の一部とみなされるため、取得価額に入れます。建物も同様ですが、建物の場合は減価償却できるので徐々に経費化できることになります。
土地の仲介手数料はその土地が売却されたときに、取得価額に含まれているので売却益計算における経費になる、ということができます。
(2)賃貸開始前の利息も経費にできない
さらに注意しなければならないのは、借入金で土地を購入した場合の利息です。利息なので経費にできると思いがちですが、その土地に対する賃貸収入が発生する前の利息は経費にすることができません。これは収益と費用は対応しなければならないという原則から決められているルールで、利息と言えども取得原価に含めなければなりません。
賃料が発生した後は当然に、経費にすることができます。なおこれは土地だけでなく建物の場合も同様です。