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【第338回】弁護士 関 義之が斬る!     「令和3年改正民法・改正不動産登記法等(相続に影響する部分)について」 その1

●「令和3年改正民法・改正不動産登記法等(相続に影響する部分)について」

こんにちは。弁護士の関です。

今月は「令和3年改正民法・改正不動産登記法等(相続に影響する部分)について」
を書いていきます。

●令和3年民法等の改正、新法制定

昨今、民法やその関連法の大きな改正や新法制定が続いています。
平成29年5月成立の債権法改正(原則令和2年4月1日施行)、
平成30年6月成立の成年年齢引き下げの改正(令和4年4月1日施行)、
平成30年7月成立の相続法改正(原則令和元年7月1日施行)、
遺言書保管法の制定(令和2年7月10日施行)などです。
そして、今回、社会問題になっている所有者不明土地の解消に向けた
民法・不動産登記法等の改正法が令和3年4月に成立し、
原則として令和5年4月1日に施行されます。
また、相続土地国庫帰属法
(正式には「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」といいます)
という新しい法律が制定され、令和5年4月27日に施行されます。
民法は私法の一般法といわれ、
国民の生活に大きく影響する法律ですので、
今回の改正・新法制定についても理解しておきたいものです。

●今回の改正、新法制定の概要

民法の大きな改正については、
法務省のウエブサイトにその理解を促すための様々な
資料や解説動画が掲載されています。
「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し
(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html
詳しくは、こちらのサイトをご覧ください。
今回の特集も適宜資料を引用しながら説明しています。

今回の改正は、所有者不明土地問題を解消するために、
所有者不明土地の「発生の予防」と、
既に発生している所有者不明土地の「利用の円滑化」の両面から、
総合的に民事基本法制の見直しを行うものとされています。

所有者不明土地とは、不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない、
又は判明してもその所在が不明で連絡が付かない土地のことをいいます。

平成29年の国交省の調査によれば、
不動産登記簿のみでは所有者の所在が判明しなかった土地の割合は約22%あり、
その発生原因は、相続登記未了が約3分の2、
住所変更登記未了が約3分の1とされています。

このような所有者不明土地の増加により、
公共事業や復旧・復興事業が円滑に進まず、
民間取引が阻害されるなど、土地の利活用が阻害されたり、
土地が管理不全化し、隣接する土地への悪影響が発生するなど、
社会問題化しています。

そのため、所有者不明土地問題を解決するために、
令和3年に民法・不動産登記法等の改正や相続土地国庫帰属法が制定されました。

今回の改正・新法の内容は、大きく、次の3つに分かれています。

1.登記がされるようにするための不動産登記制度の見直し(発生予防の観点)
2.土地を手放すための制度 (相続土地国庫帰属制度)の創設(発生予防の観点)
3.土地・建物等の利用に関する民法の規律の見直し(利用の円滑化の観点)

また、3.の民法の規律の見直しについては、大きく、次の4つに分かれています。

A 相隣関係の見直し
B 共有の見直し
C 財産管理制度の見直し
D 相続制度(遺産分割)の見直し

相隣関係や共有は、いわゆる「物権法」に関する改正ですが、
実は、相続に影響するような重要な改正も含まれています。

今回の特集では、1.と3.のうち、「相続」に影響する改正点に絞って解説していきます。

ABOUT ME
関 義之
「関&パートナーズ法律事務所 代表弁護士」 平成10年 3月に早稲田大学法学部を卒業し、 その年の10月に司法試験に合格。 1年半の司法修習を経て、平成12年10月から弁護士登録。 平成23年10月から中小企業診断士にも登録。 法人・個人を問わず幅広く紛争に関する相談を受け、 代理人として示談交渉や訴訟等に対応するほか、 契約書の作成・チェック等、 紛争が生じる前の予防法務にも力をいれている。 不動産の賃貸・売買や、 遺言・遺産分割・遺留分など相続に関する相談を、 幅広く受けている。 特に力を入れている分野は、中小企業の事業承継支援。 セミナー経験多数。 詳しくはWebサイト参照  https://seki-partners.com/
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