大家業と税金は切っても切れない関係にあります。今回はその経理処理について解説します。
1.科目は「租税公課」
(1)ほとんどの科目があてはまる
大家業の経理処理において、税金に関する項目は「租税公課」という科目になります。
大家業に必須の税金は「固定資産税」です。言うまでもなくこれは土地や建物にかかる税金で、経理処理上は租税公課で処理します。都市計画税というものもありますが、これは固定資産税と一緒に納めるものですから区別する必要はありません。建物以外の固定資産、たとえば電気設備などの建物附属設備、外構などの構築物、パソコンなどの什器備品などのうち150万円以上のものについては償却資産税が課せられます(償却資産税については毎年1月に申告が必要です)。
また、契約書に貼る印紙代も租税公課で処理します。これは契約行為に課税されるもので、契約書等に貼って捺印することで「納付」したことになります。同じようなもので「証紙」というものもありますが、これは都道府県や市町村の書類に貼るもので、印紙と同じ扱いで構いません。
(2)ほとんどが経費になるが例外もある
大家業で利用する自動車に関連する税金も、租税公課で処理します。毎年5月に納める自動車税や軽自動車税はもちろん、大型車などを購入した際にかかる自動車取得税や車検の時に支払う検査印紙も租税公課で処理します(車両関係費など別の科目で処理する場合もあります)。ただし、大家業での注意点は、経費になるのはあくまでも「事業に関する割合」の範囲に限ります。
大家業の場合、所得が290万円以上になると規模が大きいということで事業税が課せられます。これは当然に全額経費になります。
なお不動産を購入した際にかかる不動産取得税や登録免許税も経費になります。
2.個人に関する税金は注意
(1)経費にならない税金もある
一方、個人にかかる所得税や住民税は租税公課にはしません。大家業に必須の税金ではありますが、経費にしないことになっています。
また大家業で納税することはあまりありませんが、消費税も経費になる税金の一つです。ただこれは経理処理を税込経理にしている場合で、税抜経理にした場合は経費になりませんので要注意です。
(2)罰金は経費にならない
税金を納めることを忘れていて納期限を過ぎた場合などにかかってくる延滞税や、修正申告をした場合にかかる加算税・加算金の類や、自動車の赤切符などの罰金は、経費にできません。要するに罰則的な意味合いがある税金は経費にできないというものなので、これらは始めから租税公課にはしないほうがいいでしょう。