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【第四十四回】弁護士 関 義之が斬る!④

相続税対策としての養子縁組 ④

弁護士の関です。こんにちは。

平成29年1月31日、相続税対策のための養子縁組が有効か否かについて判断した最高裁判決がでました。
前回、養子縁組とは、というお話をしましたので今回はこの最高裁判決について解説したいと思います。

相続税対策と養子縁組に関する最高裁判決

●平成29年1月31日最高裁判決の意味するところ

前回引用した最高裁の判断は、次のようなロジックになっています。

相続税の節税のために養子縁組をするというのは、節税効果を発生させることを「動機」として養子縁組をするものである

このような相続税の節税の「動機」と「縁組意思」とは併存し得る

従って、専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合でも、それは「動機」に過ぎず、そのことをもって直ちに、「縁組意思」を否定するものとはならない

本件では、ほかに「縁組意思」を否定する事情はなく、養子縁組は無効とはならない

養子縁組が無効になるのは、「縁組意思」がない場合です。
最高裁は、相続税の節税をしようというのはあくまで「動機」にすぎず、この動機と、「縁組意思」は別のものであり、養子縁組が無効になるには、その動機とは別に、縁組意思を否定する事情がなければならないということを明らかにしました。

従って、節税目的というだけでは養子縁組は無効になりませんが、例えば、節税目的であっても、会ったこともない他人に名前だけ貸してもらうなどということは、縁組意思がありませんので、もちろん無効になります。
当たり前と言えば当たり前の判断だといえます。

●養子縁組をする際の注意点

今回の最高裁により、相続税対策で養子縁組をすることも、それだけでは無効にならないということが明らかになりました。
しかし、それでも、真に親子関係を創設する意思がなければ、「縁組意思」がなく無効になるということには変わりありませんので、その点ご注意ください。

また、民法上は有効であっても、税務の判断は別です。
相続税法63条では、「・・・養子の数を・・・相続人の数に算入することが、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合においては、税務署長は、相続税についての更正又は決定に際し、税務署長の認めるところにより、当該養子の数を当該相続人の数に算入しないで相続税の課税価格・・・及び相続税額を計算することができる。」と規定されています。
税務署長が「相続税の負担を不当に減少させる結果となる」と判断すれば、節税効果を得ることができません。
このあたりは、よく税理士にご相談ください。

さらに、養子が増えるということは、その分実子の法定相続分が減るということになります。
例えば、実子が長女と二女しかおらず、跡取りにするために、長女の長男(つまり、被相続人の孫)を養子にするということは良くあることですが、そうなると、もともと長女と
二女の法定相続分は1:1でしたが、長女+孫と二女になると、2:1となり、二女の法定相続分が減ることになります。
これは、争続の原因になります。

最高裁の事例でも、長女X1は、長男Cから、自分の息子Yを父親Aの養子にしたことを知らされておらず、そのことを長女X1が知った後、遺言の書換えや離縁届の提出など、ドロドロの争続争いに発展しています。

従って、相続税対策と争続対策はときに相反するものとなりますので、どちらか一方の視点だけではなく、複数の専門家の視点を得ることで、真に効果的な相続対策を行うことを心がけるとよいでしょう。

ABOUT ME
関 義之
関 義之
関&パートナーズ法律事務所 代表弁護士・中小企業診断士 平成10年3月に早稲田大学を卒業し、その年の10月に司法試験に合格。平成12年10月から弁護士登録。中小企業の総合支援を目標に掲げ、平成23年10月から中小企業診断士にも登録。法人・個人を問わず幅広く紛争に関する相談を受け、代理人として示談交渉や訴訟等に対応するほか、契約書の作成・チェック等、紛争が生じる前の予防法務にも力をいれている。
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