『代々の資産家が知るべき資産保全の考え方』
こんにちは。ファイナンシャルプランナーの駒崎竜より、お届けいたします。
今月の特集では、『代々の資産家が知るべき資産保全の考え方』について、情報提供をしています。
最終週は、「夢と懸念への対応策」について考えてみましょう。
4.夢と懸念への対応策
①課題に対する現在の対応策を振り返る
懸念事項にあげた「健康の課題」、「家族関係の課題」、「財産分野の課題」に対して、 現在はどのような問題を抱え、どのような対策を取っているのかを振り返り、それが課題 解決にまで至っているのか、進捗状況を定期的に確認します。 財産分野の進捗確認においては、少なくとも3ヶ月~6ヶ月に1回程度が必要でしょう。 また、有価証券の運用については、市場が大きく変動した時に随時確認を行うことも必要 ですが、そもそも市場の変動と相関性が低い有価証券にシフトする方法も検討しましょう。
②家族会議を実施する
家族内での健康・人間関係・財産分野における課題を解決していくために、家族で情報を 共有し、意見交換をし、前向きな議論を行うことが大切です。
但し、家族間では、ビジネスにおける会議とは違い、感情論が多く飛び交います。
そのため、一族が目指す方向性をぶらさないために、「家訓」を作成しておくことをお勧めします。
欧米における代々の資産家一族は、ファミリーミッション・ステートメント
(FMS)と言われる家訓を作り、家族の行動方針、価値観、目標を文書化し、
家族の憲法のように表明をしています。日本の資産家一族も家訓を活用する方が良いと思います。家族会議の運営については、外部の専門家に事務局としての運営を任せる方法も検討できます。 その場合の事務局には、以下のような役割も含めるべきです。
●税務対策の立案と実行支援
●投資戦略の立案と実行支援
●信託の受託者
●リスクマネジメント
●ライフスタイル・マネジメント
●帳簿管理と財務報告
●家族会議の企画・運営
まずは、改善すべき課題の分野や範囲などを把握することからはじまります。
そして、一つひとつの課題を、外部専門家の協力を必要に応じて活用しながら、
家族で解決していくのが資産保全において重要なプロセスと言えます。
③外部専門家の活用において、とても重要なこと
【報酬について】
家族の課題について根本原因を特定するためには、外部専門家の力を総動員することも1つの方法です。
例えば、税理士、弁護士、ファイナンシャル・プランナー、不動産コンサルタント、 経営コンサルタント、カウンセラー、コーチ等、資産・事業・家族の課題解決においては、その分野ごとの専門家がいます。
しかし、すべての専門家を顧問として契約するのは、経費負担が大きく現実的ではありま せん。そのため、1つの顧問契約で外部専門家をワンストップで活用できるのが最適です。
また、安かろう、悪かろうでは本末転倒ですので、適切な報酬を支払う必要はあります。
【専門家の採用基準について】
専門分野における経験や実績よりも、コミュニケーション力と品格が大切です。
代々の資産家が抱える課題は、多種多様且つ複雑なケースもあります。
それを理解した上で、お客様の置かれている立場や思い、事情や要望を汲み取りながら、 課題解決を共に考えてくれる専門家が適切です。ですから、いくら著名な専門家でも、 真意を確認する質問や共感がなく、汎用性のある解決策に何となく当てはめてくる時には 要注意です。その場合、妥当な解決や結論に至らない可能性があります。
コミュニケーションにおける相性も大切です。非常に理屈っぽく細部まで確認するタイプ もいれば、大ざっぱな人もいます。
質問に対して、すべてが詳細に揃ってから回答する人もいれば、一旦、質問を承ったことだけでも回答する人もいます。これら返答のスピードも人それぞれですので、ストレスがない専門家を選ぶべきです。
品格についても大切です。派手で高価な時計を身につけ、高額な外車を乗って来る専門家はいかがでしょうか。
常に礼儀をわきまえ、部下にも綺麗な言葉遣いをする専門家は、代々の資産家一族に適した専門家だと言えるでしょう。そして、批判を覚悟で言いますが、なるべくなら結婚して子供も育てている専門家が良いでしょう。
さて、4回に分けて情報提供しました『代々の資産家が知るべき資産保全の考え方』は、 いかがでしたでしょうか。家族や身近にいる専門家と協力し、代々の資産家一族を継承する手段の一つとして、今回のノウハウが活用されることを期待しております。