●廣田が語る!~厳しい環境下での賃貸経営
ここが気になる!~ その2
大家さん兼不動産屋の廣田です。 先週に引き続き、賃貸経営のここが気になる!その2をお届けします。
●大学のキャンパスの移転
中央大学が、現在 八王子キャンパスにある法学部を、2022年までに、文京区の後楽園キャンパスに移転することを数年前に発表しました。
このように大学のキャンパスを都心部へ移転するのは、中央大学に限らす、私立文系の 大学で、すでに移転、あるいは移転の計画がある大学が多いようです。これは、少子化の 影響で受験生が減少しているなか、受験生を確保しやすい都心部にキャンパスを移転する ということのようです。
70年代から80年代にかけて、広いキャンパスを求め、郊外にキャンパスを開設する大学が多くあり、新キャンパスに通学する学生向けのアパートが多く建設されました。 最近は逆の状況になっています。大学のキャンパスの移転は、賃貸住宅の需要に大きく影響します。また、大学のキャンパスだけでなく、大きな工場などの移転も同様に大きな影響があります。近隣の大学や工場などの動向にも注意しておく必要があります。
●立地適正化計画
人口減少、高齢化といった問題は、大学のキャンパスの移転だけでなく、今後のまちづくりにも影響を与えています。
人口減少や高齢化の影響で、税収が減少しているのに、福祉予算などが増加し、市町村の 財政を圧迫しています。また、今までに建設された道路や下水道などのインフラの維持や 更新のための予算の確保も大変な状況なり、今後 都市機能の維持に支障をきたす可能性があります。
そこで、今後 安定的に都市を運営していくために、国の政策として進められているのが、立地訂正計画※です。
立地適正化計画は、簡単に言ってしまうと、戦後から人口増加している時代に考えられた都市計画が、現在のように人口が減少していく時代にそぐわなくなったため、人口減少社会に合わせた都市計画の見直しだと思います。
(※立地適正化計画 国土交通省のHP (改正都市再生特別法)
http://www.mlit.go.jp/en/toshi/city_plan/compactcity_network2.html)
効率的な都市の運営ができるように、従来の都市計画区域内に、“都市機能誘導区域“や“ 居住誘導地域”を設定し、その地域に人口を集中させ重点的に税金を投入していく考え方です。居住誘導地区に入らない地域は今後、価値の下落が考えられます。極端の言い方をすれば、居住誘導区域から外れた地域は切り捨てられるということになります。 また、災害で被害が発生する可能性の高い地域は、居住誘導区域などから外れるようです。
既に多くの市町村が計画に着手しています。立地適正化計画の内容は、各市町村のHPに 掲載されています。チェックしてみてください。
●立地に対する固定的な考え方は危険
これからは、少子高齢化による人口減少、超高齢化社会といった、今まで経験していない 社会に変化していくことが予想されています。「ここは一等地だから大丈夫」と思っていても、今後の社会の変化によりその土地の価値が大きく変化する可能性があります。社会や、行政の動きに注目し、今後どのような変化は起きうるのかを予想して対応していくことが 重要です。また、所有地の価値の下落が予想され場合は、売却や買い換えも視野に入れて
おく必要があると思います。