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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第298回】賃貸経営のプロ廣田 裕司が斬る!④

「賃貸住宅管理業法」施行で管理会社は変わったか

皆さんこんにちは。大家兼不動産屋の廣田です。

ここから、今回の賃貸住宅管理業法が施行されたことによる
大家さんへの影響について書いていきます。

13.法人化への影響

今回の法律は、賃貸住宅の管理業、特定転貸事業者(サブリース事業者)を
規制するもので、物件を所有している法人は、
不動産賃貸業となるため規制の対象ではありません。

大家さんの法人化と賃貸住宅管理業法との関係は下表の通りです。

管理会社型の場合、
管理する住宅が200戸以上になる場合のみ管理業者登録が必要になります。
200戸以上の住宅を管理する法人を設立する大家さんは限られていると思います。
サブリース型の場合、特定賃貸借契約を締結する法人が大家さん(家主)と人的、
資本的関係がある場合は、
賃貸住宅管理業法上の特定賃貸借契約に当たらないとされているので、
特定転貸事業者の規制対象にはなりません。
大家さんが設立する法人に対しては、
賃貸住宅管理業法の規制はほとんど受けません。

 

14.預り金の分別管理で安心か

今回の法律の規制で管理会社は、回収する家賃などの預り金を、
自社の財産と分別管理することが義務付けられています。
この分別管理で、管理会社の預り金が完全に保全された訳ではありません。
管理会社が倒産した場合は、回収が困難になります。また、家賃だけでなく、
敷金を預けている場合も同様です。
もちろん、管理会社を信用してはいけないと言いたい訳ではなく、
発生する事態を想定してのことです。
管理業者登録があるから安心だと考えず、
日ごろから管理会社の経営状況を注意するようにしましょう。

<<日管協預り金保証制度>>
この制度は、管理会社やサブリース会社の信用の付与、
預り金の保全を目的に、
公益社団法人日本賃貸住宅管理協会が提供する制度です。
この制度に加入している管理会社は、
毎年、第三者機関の保証制度審査会で経営状況の審査を受けて、
問題がある場合は加入できなくなります。加入している管理会社は、
一定の信用が客観的に保証されます。
また、登録している管理会社が倒産等の理由で預り金の払い出しが滞った場合は、
1社1千万円まで、保証を受けることが出来る制度です。

日管協預り金保証制度HP
https://www.jpm.jp/deposit/index.html

15.まとめ

今回の賃貸住宅管理業法で、賃貸住宅の管理業者、
特定転貸事業者(サブリース事業者)が規制されるため、
不良業者の排除になると思います。
しかし、従来の管理会社やサブリース会社の業務が大きく変わった訳ではありません。
管理会社には、家賃などの預り金の分別管理が義務付けられましたが、
預り金が完全に保全された訳ではありません。管理会社が、
倒産などの理由で、預り金の払い出しが出来なくなることも発生します。
預り金保証制度に加入していても、
保証される金額は限定的です。
管理会社やサブリース会社の経営状態に注意しておく必要があります。

賃貸住宅管理業法が施行されても、
大家さんは従来通り、賃貸経営に主体的に取り組む必要があります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ご質問、ご不明点などありましたら、お気軽にお問合せください。(了)

 

 

ABOUT ME
廣田裕司
〇空室相談、賃貸経営全般 有限会社丸金商事 取締役 合同会社アップ 代表社員 大学卒業後、メーカーに勤務、主に土木、建築資材営業 生産管理を経験。2001年に妻の実家の賃貸事業をベースに、有限会社丸金商事を設立。同社の取締役に就任し、(当時は兼業)賃貸経営の関わるようになる。2008年に相続により同社代表取締役に就任。翌2009年の会社を退職し専業となる。現在までに3回 新築物件(6棟、27戸)を手がけ、12棟90戸所有。2019年合同会社アップ設立。
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