~大家さんの“生命保険”を考える~ その3
こんにちわ。
保険×不動産マイスター 津曲(つまがり) 巖(いわお)より、お届けいたします。
前回は、大家さんの『生命保険』を考える順序、考え方についてお話させて
頂きました。
さて、今回は大家さんの相続対策としての『生命保険』について考察してみます。
●相続税は『超過累進課税』!!
レバレッジの効いた対策が不可欠です
相続税対策の基本は、順を追って
① 分割対策
② 納税対策
③ 節税対策
が3本の柱ですね。
この順番で対策をすることが大事(この逆は「逆効果」と触れました)
相続税は、資産が倍になったら税金は数倍に膨らんでいく「超過累進課税」となって います。
そのためレバレッジの効いた対策をしないと相続のたびに資産を減らすことになります。
このレバレッジの効いた対策の第一が「生命保険」なのです。
生命保険は、レバレッジ効果とともに即現金化できる大きな利点があります。
もちろん、不動産で「資産の圧縮効果」を図ることも可能ですが、
レバレッジ効果の速攻性はあっても換金性では劣ります。購入価格以上で売れる保障もありません。
そこで今回は、この生命保険の具体的利用について考えてみましょう。
●『分割対策』としての生命保険とは
大家さんの多くは一人の後継者がいらしてすべてを承継させたい
(不動産の共有は絶対避けるべき!!)と思っていらっしゃる方が多いです。
そのためにすべてを承継した方とその他の方の相続に不公平がないように上手に 「分割」対策をする必要があります。
承継させる不動産に見合う現金があれば問題はありませんが多くの場合、現金は不足 します。
その不足分をカバーするのが生命保険です。
この生命保険の具体例を見てみましょう。
【ご加入例】
登場人物は3名です。
Aさん;被相続人(大家さん)、Bさん;相続人1(不動産を引き継ぐ方)、
Cさん;相続人2(不動産は引き継がない方)
(商品)
保険種類:終身保険(一生涯の保障があるものでしたね)
保険料払込期間:なるべく短めにすることが「レバレッジ効果」を高めます。
保険金額(万一の時いただく保険金額):不動産評価額相当×1.●●倍
(●●は、相続税率を基準にかけ合わせて手取り額を調整します。)
(契約形態)
契約者(保険料支払う方):Aさん
被保険者(保険の対象になる方):Aさん
保険金受取人(Aさんに万一の時の保険金受取人):Bさん(Cさんには
絶対にしない!!)
となります。
このようにすることで相続時、Bさんは不動産と保険金を手にして、
この保険金をCさんに相続した不動産の代わり(代償交付金)として渡す
ことで円満に分割・相続できるのです。
ここで注意すべきは、
① 保険金額の決め方=手取り額の算出
② 契約形態で受取人はBさんとすること。
もしCさんにしてしまったら・・・
Cさんは「代償交付金なんてもらってない!」と言えてしまうのです。
なぜなら、生命保険金は、受取人固有の権利と最高裁の判例があるからなの
です。くれぐれも注意しましょう!!
生命保険も保険金額の設定、契約形態によって「税金額」や「税の種類」、
「契約の効果」も変わってしまいます。
大家さんの側に立った専門家と一緒に考えることが必須ですね。
最終回は、さらに具体的に生命保険の活用を考察していきます。