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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第六十八回】
不動産鑑定士×一級建築士 田口 陽一が斬る!①

~利回りの罠~

こんにちは!
一級建築士・不動産鑑定士の田口です。

ここ数年、不動産価格はあがりにあがって、
もう天井だろう、なんて言われ方をされて久しいですね。
そこへきて、スルガ銀行をはじめとする問題の影響で、
銀行を取り巻く環境や融資状況もだいぶ変化してきていると思います。

それでも投資したい!
利回りの高いお宝物件を探すんだ!
という貴方。

しかし、注意したいのが“利回りの罠”です。

★罠その1 

「表面回り」

そんなこと知ってるわい。
と思いましたか?

でも復習だと思ってお付き合い下さい。

高利回りと思って検討し細かく計算して、諸経費引いたら、
物凄く利回りが悪い!
なんだこりゃ!

こんなこと、よくありますよね。
管理費が高いとか固都税が高いとか、色々なケースがあると思います。

諸経費が高いなら計算すればすぐにわかりますが、「隠れ経費」として注意したいのが、 将来のリフォーム費用とか空室損失といったもの。

空室リスクの程度や退去に伴う費用って、その時になってみないと、
ほんとのところ、予測にも限界がありますよね。

特に、土地勘のないエリア所在の物件は注意しましょう。
現行の稼働CFが大きくても、空室が出たとき、大きく穴のあく物件というのは、ダメ物件なのです。

それより、現行CFが非常に低くて低利回りの物件を買って、稼働を引き上げて高利回り 物件にして、短期売却する方が理にかなっているのですよ。

ただ、ここで高利回り物件を買ったお客さんはいわゆる「出口」であるわけです。

もしかして、俺??
思い当たる節はありませんか?

まさに利回りの罠なんです。

★罠その2 

 

「あるべき利回り」との対比に注意せよ、ですね。

よくあるのは、

「こんなに物件が高騰しては、都内ではダメだ。郊外や地方に投資しよう!」というもの。

典型的な失敗パターンです。
土地勘がよっぽどある、とか、長期で保有できる体力(=資金力)があれば別ですが・・・

「そんなこと言ったって、都内は高くて買えないよ!」
という貴方!

そうはおっしゃるかもしれませんが、これは絶対にやめましょうね。
銀行が貸す、といっても、やめましょう。

なぜなら、利回りには、本来の「あるべき利回り」があって、そして一方で、     「実際の利回り」があるわけです。

その双方の対比で、「これは安い!」とか「これは高すぎるよ。」
という判断になるのです。

その物件の個別性、その時の金融環境によって、「あるべき利回り」は
大きく異なります。

つまり、「郊外物件」は利回り高くて当たり前。

そんなことに喜んでどうする!!?
ということです。

これって当たり前のことなのに、「銀行融資が出るから」
といって、手を出す投資家さん、結構見かけます。

絶対にやめましょう。

投資の上手な方は、自分なりの「あるべき利回り」が明確ですよね。

これって物件にもよるし投資環境にもよるし、本にも書いてない。
セミナーでも教えてくれない。

もっといえば、投資家さんによって同じ物件でも変わってくると思います。

教科書的には、「理論的に決まる」とあるでしょう。
でも、それって実務的には難儀です。

また、例えばこんな例を考えてみると、どうでしょうか。

ホテル投資が得意な投資家や、物流施設が得意な投資家、
あるいは開発ノウハウを持ったデベロッパーは、彼ら特有のリスクテイクができたりする ので、誰かにとって高い物件でも誰かにとっては安い物件であることもあるのです。

現実的には、投資家によってちょっと異なる、と考えた方が一般的な感覚としては    理解しやすいと思います。

(教科書的にはそういった事情も含めて、あるべき利回りは一つに決まる、
と書いてあると思いますが、それはあくまで理論上のことだと理解した方が実態的です。)

逆に言えば、
マニアックなカテゴリの物件特性に詳しくなれば、他人よりリスクをとりに行けるので、 他人より割安に(というか、同じ価格でも「割安」な感覚で)
投資ができるということです。

地方物件だけどその地に地縁があり、安く管理ができるとか、賃貸マーケットを知り   尽くしているとか、借地底地だけど、自分は詳しいからとか、
権利整理が得意だからとか、そういったことって、実際に武器になるわけですよね。

不動産の世界ってこのように多様だから面白いのだと思います。

さて・・・
まとめます。
時にアグレッシブに「エイや」が必要なこの世界ですが、
「あるべき利回り」
については冷静に・・・

★利回りの罠その3

デコレーションに注意せよ。

ケーキかよ?

説明します。

利回り(収益÷価格)というのは、その時の取引情勢や売買当事者の事情によって、   高くなったり、低くなったり、変動するわけですが、大きく変動しているのは分母の   価格の方で、分子の収益の方は、本来はそんなに変動しないわけです。

しかし、装飾された収益(=分子)には注意してください。
意図的にカサマシされた収益はいつか剥がれ落ちます。

これをお化粧といいます。
(女性の方、すみません!!!)

ということで、
利回りの罠
にも色々ありますが、
不動産投資に前向きな方、一生懸命な方ほど、不動産が好き、不動産を買うのが好き、
そういう傾向があると思います。

いい物件、ないな~、高いな~、
というご時世だからこそ、気をつけましょうね。

また来週!

 

ABOUT ME
田口陽一
明治大学理工学部建築学科卒業。一級建築士、不動産鑑定士、宅地建 物取引士、マンション管理士。東京建物株式会社にて、不動産鑑定評 価、都市再開発、オフィスビル売買・運営、SPCスキームを活用した 不動産事業等、理論・実務の両面から不動産業務を経験し実績を残す。 不動産ソリューションは、実践的経験が何より重要であるばかりでな く、建築・税・法務・金融・理論的評価・現実の売買等々、複合的領 域にわたることから、常に複眼思考でベストな解決策を構築している。 鑑定評価や売買のみならず、バランス重視のハイブリッドなアドバイ ザリーを得意とする。
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