大家さんの相続を考える! ④
こんにちわ。
保険×不動産マイスター 津曲(つまがり) 巖(いわお)より、お届けいたします。
前回は、改正民法で新設の『遺留分の金銭債権化』を解説し、そのメリットとデメリットはご理解いただけましたか。 特に、『不動産』が相続財産の中にある場合、きちんと評価できるかどうかが道を 二分します。 専門家に相談して早め早めの対策が必要ですね。
さて、最終回の今回は、こちらも本年7月12日より施行予定の『特別寄与料』の 創設について、改正された背景とともにみていきましょう。
●『特別寄与料』とは?
『寄与分』という言葉をお聞きになったことはありますか?
まさしく「被相続人」に対して生前、他の相続人に比して特別に面倒を見てくれた方に対する感謝の気持ちを表すものと言えます。
しかし、たとえば相続人が配偶者と子であれば、特定の「子」はよく面倒を見たがたまたま遠方に住むことになった「子」は面倒をみない、みれないということが多々あります。
また、近くの「子」であっても働き盛りの子や子育てに奔走する世代の子であればその 配偶者が義理の親の面倒をみているという現実があります。
一旦、遺産相続で争いがおこって、親の面倒をみることが多かった子が相手 (親の面倒をみなかった子)より多くの遺産相続を裁判所が認めるか? また、実質面倒をみてきた子の配偶者に相続権があるか?
どちらも答えは「NO」ですね。
なぜなら、親の面倒をみるのは子の義務、子であれば当然であるという見方をされるから です。併せて子の配偶者にはもとより「相続権」はありません。
そこで今回の改正で、『相続人以外の親族=6親等以内の血族・3親等以内の姻族の特別な寄与に対して、貢献に応じた金銭『特別寄与料』の請求を認めるという制度が新設された のです。
*「親族」と「親戚」は異なることに注意。
また、次にあげる2つの【要件】を満たす必要があります。
①「無償」の「労務提供」であること。
②故人の財産が「維持」または「増加」されたこ。
以上です。
もうお気づきの通り、この要件が曲者です。
①は「無償」での「労務の提供」のみに限定しています。
たとえば、認知症が進行しないように「話相手」として何時間も過ごすのはどうなのか。
この時、交通費を受領したらどうなるのか?等々個別のケースで検討が必要です。現段階では何ともいえない状況です。
②についても財産の「維持」または「増加」されたことが要件だということです。
いつの時点の財産なのか?基準が不明確ですね。 このように、いろんなケースが想定されるうえ、あくまでも「請求権」の新設ですので 今までと変わらず泣き寝入りされる方も多くいらっしゃるのではないかと容易に 想像できます。
気兼ねなく、生前に、ご自身の意思で特別に面倒をみてくれた方を「生命保険」の受取人にすることでこの問題は一気に解決できます。
気になる方、検討してみたい方はお気軽にご連絡をください。
これも2019年7月12日施行予定ですのでそれまでに一度、確認されることを お薦めします。
4回にわたって、改正民法の「相続」に関するところを解説しました。
お役に立てれば幸いです。
まずは「相続」に関して信頼できる方にご相談してみてください。最初の一歩が大事です。