●廣田が語る!~工事費用について考える~ その4
大家さん兼不動産屋の廣田です。
「工事費用について考える」第4回目をお送りします。
●資金の確保~長期修繕計画~
いろいろな方法を駆使して、工事費をコストダウンしても、
資金がなければ工事を発注することができません。
退去時の原状回復工事でも、部屋の広さにもよりますが相当額が
必要な場合もありますし、外壁塗装などの大規模修繕工事などは、
多額の資金が必要になります。タイムリーに工事を実施するためにも、
資金の準備をしておくことが重要です。
長期修繕計画を立てて、必要となる資金を準備しましょう。
例えば、10年間で6百万円の工事費が予想される場合、
毎年60万円、毎月5万円、資金の積立が必要になります。
資金の積立状況を明確にするために、修繕費専用の銀行口座を準備し、
毎月の積立額をその口座に入金し、通常の口座から分離しておくのも
よい方法だと思います。
●工事費が賃貸経営に与える影響を考える
例えば、家賃5万円の部屋に、50万円のリフォーム費用をかけた場合、
10カ月間家賃が0円となることと等しくなります。
発生する工事費用がその部屋の家賃の何カ月分に相当するかは、
工事にかける金額を判断する上での一つの指標になります。
「家賃の何カ月分が妥当な金額なのか」と聞かれることがありますが、
これは、オーナーさんの資産の状況や、物件の状況によって違ってくるので、
一概に「○カ月分が妥当」とはいえません。
しかし、過大にリフォーム費用をかけても、家賃が倍になる可能性は低いので、
投資効果を考えて金額を決めましょう。また、必ずしも工事を実施しなくても、
家賃を下げることで、入居者さんを確保できるのなら、
工事をやらないという選択もあると思います。
もう一つの見方としては、そのリフォーム工事を実施することで、
家賃に影響するか、という見方です。
例えば、20万円のバリューアップ工事で、家賃を2千円/月アップできた場合、
2万4千円(2千円×12か月)÷ 20万円 = 12%
このバリューアップ工事の投資利回りは、12%ということになり、
投資した金額を8年程度で回収できることになります。もし、5年後(8年より短い年数)
で建替えを計画している場合、その費用のうち3年分程度回収できなくなります。
また、売却を予定している場合、家賃のアップは、売却額のアップに
つながる可能性があります。
例えば、売却時の利回りが10%の場合
2万4千円 ÷ 10% = 24万円
24万円の売却額のアップが期待できます。
リフォーム工事の費用が、賃貸経営にどのような影響を与えるのかを、
考えることも重要です。
工事費をコントロールすることは、賃貸経営のなかで重要なことの一つだと思います。
コストダウンを考えることも大切ですが、タイムリーに必要な工事を実施しないと、
稼働率にも影響します。工事を実施するための資金の確保や、
賃貸経営に与える影響も考慮して適切な工事を実施するようにしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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