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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第233回】一級建築士 遠田 将徳が斬る!②

『これからの空室対策』

こんにちは。一級建築士の遠田(エンダ)です。

人口が減り続ける中、新型コロナウイルスの影響が追い打ちをかけるように、
空室が増えることが予想されます。
今回は費用をあまりかけない空室対策のご提案をしてまいります。

◆賃貸市場は急速に収縮する
コロナショックが賃貸市場に与える影響は、6か月~1年遅れてやってくると思われます。
そもそも、賃貸市場自体は高齢化、人口減少などからくる賃料減額や物件の老朽化など、
決して楽な市場であったわけではありません。
合わせて2020年民法改正があり、                         賃貸オーナー様にとっては逆風の時代に突入していました。

そこに、コロナ禍が重なり、法人や外国人への影響で、
空室率が全国で最大5%以上上昇するとも言われています。
空室が増える、滞納・賃料減額が増える、収入が減少する。
その結果、金融機関への支払いや生活が困窮し、売却を検討される方も増えます。
これを新しい売買ニーズへのチャンスとして捉えることもできますが、
根本的に経営を改善する方法を押さえておかなければ、
長期的に見て賃貸管理を基盤としたビジネスは厳しくなっていきます。
市場の一番の課題である、築古の空室物件をどのように、
物件再生・活用していくかが課題となってきます。

◆コロナ収束後の変化に対応すること
アフターコロナで人の価値観が大きく変わると言われています。
すでに兆候が表れていますが、
「安全・安定への意識」「節約への意識」「本質追求への意識」「イエナカ消費への意識」
「家族への意識」「社会との共生・協調への意識」といったことに関心が高まっています。
賃貸物件の選び方でも、今までは「職場に近くて便利」という選び方だったものが
「離れていても快適」に代わっています。働き方の多様化が高まり、
求められる設備や間取りはさらに大きく変わっていきます。

◆対応策へのヒント
・テレワークスペースを確保
テレワークができるように、寝室やLDKにカウンターデスクを設置してみては      いかがでしょうか。

・居室は仕切れるように
学校や塾でオンライン化が進むと、個室は小さくても一人一部屋必要となってきます。
たとえ一部屋確保できなくても、簡易間仕切り仕切ったり、               収納家具で区切る方法もあります。

・新鮮な空気を取り入れる
玄関ドアに鍵付きのルーバー網戸を設置することで、玄関から室内に流れる通風ルートを 確保できます。

・独立洗面手洗い
玄関近くに設置することで、帰宅してから手を洗う習慣が身に付きます。
タッチレス水栓にすると触れずに済みます。

・玄関にコート掛けや荷物を置くスペース
アウターや大きなバッグを玄関脇に置くことによりウイルスや花粉を
室内に持ち込まないことが大切です。
コートがかけられるタイプや荷物を置けるカウンタータイプのシューズクロークを
設置することで対応できます。

今回は大きな費用を掛けない対策で、
生活スタイルの変化に合わせた間取りや設備の強化提案をしてみました。
ご参考になさっていただければと思います。

 

ABOUT ME
遠田将徳
株式会社ウィル建築設計 顧問/武蔵工業大学工学部建築学科卒業。一級建築士、色彩検定二級。 ハウスメーカーにて、モデルハウスの企画設計・デザインコードの作成、戸建分譲のランドスケープデザインを経て、賃貸住宅の設計を経験。戸建住宅・賃貸住宅の新築、リフォームの見積り、外構工事と幅広く手掛け、許認可業務、実施設計、デザイン、コーディネートまで、建築に関わる様々な目線からの適切なアドバイスを得意とする。
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