渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第八十八回
私の履歴書⑲～粉飾決算事件から見えた道～
渡邊浩滋総合事務所の10周年の節目として自分自信のことを振り返っています。
2021年12月4日に丸10年を迎えました。
10年やってこられたのも、支えてくださった皆様、スタッフのお陰です。
今後ともよろしくお願いいたします。
会計の知識にのめり込むきっかけをくれた事件
商社の法務部時代に、粉飾決算の事件を担当させてもらいました。
取引先が粉飾決算をして、決算書を良くみせて、信用を高めるのです。
なかなか決算書が虚偽ということは見抜けないのが実態です。
うちの会社もその決算書を信じて取引を開始したものです。
虚偽の決算書なので、内情はよくありません。
結果的に倒産してしまい、売掛金の回収が困難になってしまったのです。
会社に資産はないので、回収しようにもできない。
そこで、粉飾決算をしていたことが、倒産した弁護士の意見書から出てきたのです。
それなら、粉飾決算をしていた代表者に対して取締役責任が追求できる。
会社に資産がないなら、社長個人の財産から回収しようというものです。
ここで初めて会計というものを学びました。
決算書の見方、会計基本原則。
いままで法律という文章ばかり見てきたため、数字に対して苦手意識がありました。
当時、簿記３級しかもっていない私の知識では、理解するのが非常に難しかったです。
それでも私にとっては全てが新鮮に思えたのです。
「こんな世界があるのか・・・」
法律を勉強して、何となく世の中の仕組みみたいなものがわかった気がしていた私の頭を後ろから叩かれた感覚を覚えました。
本屋に行っては会計の本を探し回って知識をつける日々を送りました。
私はのめり込むタイプなのです。
そして粉飾決算を追求する糸口を見つけたのです。
弁護士に相談したときに、なかなか弁護士は理解してくれませんでした。
弁護士は数字や会計については疎いのです。
『自分が会計の知識を身につければ、弁護士にも勝てるのではないか』
そんなことが頭をよぎりました。
ロースクールで弁護士になるよりもいいかも。
会計の道に行く道がうっすらと見えてきました。
（続く）
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