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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第314回】
 二代目大家の小宮 哲朗が語る  ~大家さんが立ち向かうアフターコロナの賃貸経営④~

大家さんが立ち向かうアフターコロナの賃貸経営

皆さんこんにちは。今月は二代目大家の小宮 哲朗より
「大家さんが立ち向かうアフターコロナの賃貸経営」と題して、
4回に分けてお送りいたします。

過去3回では「入居者ニーズの変化」、「リフォーム」、
「入居者募集」についてお伝えしました。
最終回第4回目は「アフターコロナの賃貸経営」と題して、
今後賃貸住宅市場がどのように変化していくのか、
大家さんが注意すべきことについてお話します。

◆アフターコロナもテレワークは主流となるのか
「新型コロナウイルスが終息したあとも、
テレワークは続き、浸透していくのか?」というのは、
大家さんの最も関心のあるテーマの一つともいえるでしょう。
居住用はもちろんのこと、東京をはじめとするビジネスの中心地では、
オフィスや商業施設の需要にも影響します。
テレワークは総務省が補助金などの導入支援策を実施したことによって、
多くの企業が取り組みました。
しかし実際に導入した結果、
これまでスムーズに行われてきた社員間のコミュニケーションが損なわれ、
相談や依頼がしにくいという意見も出ています。
また機密保持といったセキュリティーの課題や、
テレワークにおける社員の評価方法といった労務的な課題も浮上しています。
このようなことから、テレワークは今後も続いては行くものの、
業種によってはテレワークが浸透しない、
またはオフィスワークに戻る割合は一定以上あると考えられます。
よって大家さんは、テレワーク需要の対応に100%舵を切るのではなく、
住宅全体として長く住みたいと思ってもらえる環境を提供するという視点で
考えていくことが重要といえるでしょう。

◆都心部の賃貸需要はどのように変化するのか?
ある調査によると、「新型コロナウイルス収束後もテレワークを継続したいか」
という質問に対して、およそ6割の人が肯定的な回答をしています。
しかし一方で「自宅での勤務で効率が上がったか」という質問に対しても、
およそ6割の人が「効率が下がった」と回答しています。
テレワークの課題としては、「
職場に行かないと閲覧できない資料・データのネット上での共有化」が最も多く、
機密性の高い資料やデータをネット上で共有できるセキュリティー技術を保有し
「テレワーク」でも業務効率が落ちないIT系企業などを除いては、
そのメリットを100%享受できていないことが分かります。
今後もテレワークを継続することにより、
オフィス賃料や従業員の通勤費といったコストを削減できることは
企業にとって大きなメリットですが、こうした課題はまだまだ残されており、
またテレワークだけでは業務が完結しない業種も一定数あることから、
都心部の賃貸物件需要が一気になくなるということは考えにくく、
都心部の需要の高さは揺るがないといえるでしょう。

◆郊外の賃貸需要はますます厳しくなるのか?
一方で郊外の賃貸需要については、
コロナ禍で都心から移り住む人が増え、
新たな需要が生まれています。
しかし立地面でやはり不利であるのは否めず、
賃貸経営の難度は高いことに変わりはないでしょう。
郊外でもコロナ禍のニーズに合った物件とは
・都心へのアクセスが良い(時間または交通機関の利便性)
・子供の教育環境として最適(学校、公園、各種施設など)
・テレワークスペースがある、
またはテレワークスペースが確保できる間取り・広さ
・綺麗にリフォームされていて清潔感がある

以上の点が条件といえます。

◆アフターコロナの今後、大家さんは何に注意すべきか?
1.報道される情報を鵜呑みにしない
コロナ禍では今まで以上に様々な情報が錯綜しています。
そんな時こそ、受け入れる情報を自身で取捨選択することが非常に重要です。
特にテレビ、新聞などのメディアで報道される内容は
一部分が切り取られて発信されているものも多く、
情報として偏っていることもあるからです。
例えば賃貸経営に関していえば、家賃相場があげられます。
コロナ禍で家賃相場が下落しているという報道も多くみられますが、
立地と需要の観点から改めてみてみると、
実際はほとんど変わっていない状況です。

2.最新の情報収集を怠らない
コロナ禍では今まで以上に世の中の状況が変化していますが、
コロナが終息した後も、常に状況は変化し続けます。
よって最新の情報には常にアンテナを張り、
情報収集するようにしましょう。
1で述べた通り情報を鵜呑みにしないことは重要ですが、
必要な情報をいち早く入手することも必要です。
国の政策については、テレビや新聞でも報道されるため、
比較的情報収集はしやすいです。
しかし自治体の支援策については大々的に報道されないため、
自ら情報収集を行うことが必要になります。
また自治体の支援策の中には、国の支援策よりも手厚いものもありますので、
定期的にチェックすることをおすすめします。

3.賃貸経営の基本に立ち返る
コロナをきっかけに賃貸経営に関わる人々(大家さん、
入居者、不動産会社)の価値観は確かに変わりま
したが、賃貸経営でやるべきことが大きく変わるわけではありません。
管理会社と密にコミュニケーションを取り、
入居者からの問い合わせ・クレームには迅速に対応する。
空室発生時の募集では、仲介会社とコミュニケーションを取り、
適切な相場家賃で募集し、幅広く広告
掲載する、など基本に忠実に行動することです。
コロナ禍の情報に振り回されて賃貸経営の基本を見失
ってしまっては、本末転倒になります。
逆に基本がしっかりできていれば、必ず良い成果をもたらします。

以上「アフターコロナの賃貸経営」と題して、4回に分けてお送りいたしました。
皆様の今後の賃貸経営がより良いものとなるよう、ご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

ABOUT ME
小宮 哲朗
小宮 哲朗(こみや てつろう) エターナルフィナンシャルグループ IFA事業部長 ◆保有資格 CPM(認定不動産経営管理士)、宅地建物取引士、AFP、 証券外務員二種 ◆経歴◆ IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)、 不動産コンサルタント、二代目大家。 不動産投資は2012年にサラリーマン大家として開始。 実家が個人の地主系大家のため、 相続対策として法人化を実行し現在に至る。 サラリーマン時代は不動産ポータルサイト「HOMES」の 運営会社でエンジニアを勤め、不動産会社向けシステムの開発に従事。 現在は不動産、金融両方に精通したIFAとしてコンサルティングに従事。
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