『大家さんの法人化と金融サービス』
こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの駒崎です。
今週は「法人化による借換え、新規融資の決算書ポイント」についてです。
●法人化による借換え●
法人化を検討する大家さんは、
所得税対策や争続対策がきっかけになる方が多いのと思います。
法人代表者になれば、給与所得控除が利用できますし、
家族に給与を支給することで所得分散も可能となります。
但し、シミュレーション上はメリットが出るとしても、
法人に物件を売却して法人が融資を受けることができなければ、
そのメリットを享受することはできません。
個人で借入れしているアパートローンが、銀行や信用金庫の場合、
代表者個人が法人の連帯保証人として融資の申込みをしますので、
このケースでは、個人の信用情報(借入れ等の返済状況)に問題がなければ
概ね借換えには積極的に応じて頂けます。
ノンバンク系の不動産投資ローンの場合は、
勤務先の信用を裏づけにした個人専用の融資商品のため、
低金利で利用できていると思います。そのため、法人化をする際には、
法人用の融資を利用する必要があり、ノンバンクでは融資自体が難しいケースがあります。
そのため、他社借換えを検討しますが、今までよりも金利が上がり、
キャッシュフローが大きく悪化する可能性があります。
日本政策金融公庫の一般貸付の場合は、
債務者変更(名義変更)の手続きができますので、法人化には大きな懸念はありません。
なお、個人の借入れを一括返済し、法人で新規融資を受けるため、
融資手数料や解約手数料、抵当権設定登記費用、抹消登記費用、
所有権移転登記費用が発生します。
●新規融資の決算書ポイント●
法人化後、新規物件の購入でアパートローンを利用することがあるかと思います。
その際には、法人の決算書、直近残高試算表、
物件の棚卸資産表を裏づけにした与信情報、
代表者の経営視点や経験、独自の強みなどの定性的な情報を元に、
再現性のある事業計画書を提出できるか否かが融資の稟議でもポイントとなります。
特に、与信情報に関しては、売上、EBITDA(イービットディーエー)、融資率、
返済比率が大きな鍵となりますので、過去の決算書よりも、
直近の残高試算表の状況が好印象になるよう、
日々の経営でも収支に着目した経営が大切となります。
節税ありきの経営をしていては財務状況に好い影響を与えませんので、
物件を法人で買い進めて行くためにも、
収支に着目した賃貸経営を心がけましょう。
また、新規融資を申込みする前に、資金計画、
収支計画、物件・家賃相場を研究して、根拠のある事業計画書を作成しましょう。
※EBITDA=税引前利益+特別損失+支払利息+減価償却費