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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第275回】ファイナンシャル・プランナー
駒﨑 竜が斬る!④

『大家さんの法人化と金融サービス』

こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの駒崎です。
今週は、法人大家さんの
「有効的な退職金制度」について情報提供いたします。

専業大家さんは、
会社の事業形態が個人事業主・法人に関わらず、
オーナー社長という立場になります。
そのため、将来の退職金準備については
自分自身で計画的に備える必要があります。
今回は、法人大家さんに焦点をあてて、
2つの退職金制度について解説いたします。

●小規模企業共済●

小規模企業共済は、加入資格にいくつかの制限があり
サラリーマン大家さんや専従者は加入することができません。
専業大家さんには選ばれている退職金制度です。
毎月の掛金は1,000円~70,000円の範囲内(500円単位)で
設定ができ、本人の個人口座からの引落しにより納付をします。
掛金は全額が所得控除となるため、
将来の退職金を資産形成しながら所得税や住民税の
軽減をすることもできます。
掛金の運用は、運営主体が株式や債券等に投資して行いますが、
加入者は予定利率1%での運用が最低保証されています。
予定利率とは複利による年率計算ではないため、
預貯金や年金保険よりも高い商品だと
誤解をしないようにしましょう。
退職金として給付を受ける老齢給付の年齢は65歳以上となり、
それまでの掛金納付期間は15年以上必要となります。
年金による受給を選択すると、
雑所得として公的年金等控除が適用できます。
一時金による給付を選択すると、
退職所得として退職所得控除が適用できますので、
退職金を受け取る時の税制メリットは大きいです。
デメリットとしては、掛金納付月数が12ヶ月未満の場合は、
全額が掛け捨てになる場合があります。
また、加入期間が20年(240ヶ月)未満の場合は、
元本割れとなります。そして、掛金の増額や減額をした場合は、
増額や減額の前と後で、それぞれの加入期間が20年(240ヶ月)
未満の場合は、元本割れが発生するため注意が必要です。

●企業型確定拠出年金(DC)●

企業型確定拠出年金(以下DC)は、
社会保険の適用事業所で厚生年金に加入している役員や社員が
加入できる退職金制度です。
毎月の掛金は5,000円~55,000円の範囲内(1,000円単位)で
会社の年金規約に基づき設定でき、
法人の口座からの引落しにより掛金を拠出します。
そのため、掛金分は給与収入には含まれず、
加入者の所得扱いとはならないため、
所得税や住民税の課税対象とならないだけでなく、
社会保険料の算定基礎からも除外されます。

将来の退職金を資産形成しながら所得税や住民税の軽減、
社会保険料の減額をすることもできます。掛金の運用は、
投資信託や預金、保険商品を加入者個人が選択して運用を行い、
運用益は非課税となります。そのため、
DCを導入している事業主には、
加入者に対する継続的な投資教育を責務としています
(確定拠出年金法第二十二条)。
退職金として給付を受ける老齢給付の年齢は60歳以上となり、
それまでの掛金納付期間は10年以上必要となりますので、
これらの期間については小規模企業共済よりも短いです。
しかし、60歳になるまでは原則引出しをすることができない点は、
任意解約ができる小規模企業共済よりも流動性が低いと言えます。
年金による受給や一時金による給付による税制メリットは、
小規模企業共済と同様です。
DCを導入する事業主のデメリットとしては、
厚生労働省への申請、会社単位の月額固定費、
投資教育への負担や費用がデメリットとも言えますが、
これらの費用は福利厚生費として損金処理ができます。
小規模企業共済とDCは併用することができるため、
掛金に余裕がある場合は併用の検討も良いと思いますが、
どちらかを選択する場合は、厚生年金に加入しているなら、
社会保険料のメリットが享受でき、
複利の効果が期待できるDCに軍配が上がるでしょう。
将来の退職金や年金の備えは、税制メリットもある退職金制度を活用し、
計画的に準備をしましょう。

 

ABOUT ME
駒﨑竜
駒﨑 竜(Komazaki Ryu) 経済力コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー エターナルフィナンシャルグループ(株)  代表取締役 エターナルウェルスマネジメント(株) 代表取締役 一種外務員、貸金業務取扱主任者、 二級FP、損害保険大学、生命保険大学 マネーの達人・週刊ダイヤモンド・価格ドットコム・KINZAI・ 不動産日記(税金の手引き)・税の知識(相続贈与)・ 住宅新法(事業資金調達)・住宅ローンアドバイザー通信など、 専門家としての執筆、監修をしている。
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