~知ってトクする不動産に係る特例(相続編)~
『空き家』問題に迫ってみましょう
今月号は、保険×不動産マイスター 津曲(つまがり) 巖(いわお)より、
お届けいたします。
今回は、特に多くのご相談をいただいているいわゆる「空き家問題」について
相続の現場、また、所有されていらっしゃる方からのご相談などからいくつかの 事例について、解説します。
第二回目は、いわゆる【空き家バンク】についてみていきましょう。
● 「空き家バンク」とは
地域創生プロジェクトの一環としてはじまった「空き家」の物件情報を
地方自治体が集約してホームページ上などで提供する仕組みのことを言います。
これにより自治体では地元の情報を広く募集、収集することができ、
地方への移住や地方との交流を希望する人々へ
その情報を提供することができる仕組みです。
これらのマッチングにより、「空き家」の有効活用、地域の活性化、
少子化対策などを目的としています。
また、売買や賃貸などの交渉窓口には、
地元の宅建協会会員の宅建業者さんがあたります。
ここでも、希望者は地元の情報を収集することができます。
この取り組みは国土交通省がバックアップしており、
全国の空き家と空き地の情報を集約して、
現在、次の2事業者がウェブサイトを構築して広く情報を公開しています。
【ご参考】
1.https://www.homes.co.jp/akiyabank/
2.https://www.akiya-athome.jp/
となります。
因みに、2.のサイトには、569の自治体、掲載物件数は5,321件に
のぼります。(令和3年8月3日現在)
空き家、空き地の所有者のみならず、不動産の活用、
投資を考えるうえでも一度是非、のぞいてみてください。
● 【低未利用地等を譲渡した場合の100万円特別控除】について
上記の通り、地方のみならず都市部でも増え続ける低未利用の空き家について
新たな利用者への譲渡を促進するため、「個人」が「2020年7月1日から
2022年12月31日」までの間に、
「都市計画区域内」にある一定の低未利用地等を『500万円』以下で
売却した場合には、その譲渡所得の金額から
「100万円」を限度に控除することができます。
● 【事例】をみてみましょう
首都圏にお住いの息子さんとお嬢さんの兄妹お二人からのご相談です。
もともとご実家であった新潟の土地家屋(現在、空き家)を
2010年5月に2分の1ずつ共有で相続されました。
地方の物件でもあり賃貸に出すも借り手はつかずそのままにしていました。
「空き家バンク」のことは情報として耳にはしていましたが、
具体的に何をどうすればよいのかわからずにいらっしゃいまいました。
2020年2月、妹さんから売却についてのご相談があり、早速、
地元の自治体へ問い合わせ、宅建業者さんを数社ご紹介いただき個別に面談。
1社に専属専任媒介で売却を依頼し、「空き家バンク」に登録。
半年後の2020年9月に800万円で個人の方に売却することができました。
この事例で、「低未利用地等の譲渡に関する特例」は利用可能でしょうか?
売却時期、物件に関する諸条件は要件を満たしていましたが、
譲渡価格800万円>500万円ですので、受けることができない。。。
答えは、利用可です。
この譲渡価格500万円の条件は「総額」ではなく、
所有者それぞれの譲渡価格で判断されるからです。
今回は、お二人均等に2分の1で、
各人400万円<500万円ですので、
各自限度額上限の100万円まで適用できたのです。
(注)諸費用は考慮しておりません。
これらの適用に関して、個別に詳細な条件や添付する証明書の取得など
なかなか自身でそろえることは困難です。
不動産の税務に精通した専門家『税理士』に必ず、
前もってご相談されることが不可欠な制度と言えます。
大家さんの道しるべには、不動産に係るすべての場面で専門家がワンストップで
おります。お気軽にご相談ください。