『大家さんと融資の付き合い方』
こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの駒崎です。
今月の特集では、『融資』をテーマに情報提供をしております。
2回目は「元金均等返済か元利均等返済か」になります。
アパートローンや不動産投資ローン、事業用ローンでは、
一部を除いて返済方式の選択をすることができますので、まずは特徴を解説します。
■元金均等返済の特徴
借入元金を返済回数で割った額に、残高に対する利息を上乗せして返済する方式です。
毎月、一定額の元金を返済していくため、元利均等返済と比較すると、
借入金残高が早く減ります。
また、利息を含めた支払総額も安くなります。
■元利均等返済の特徴
毎月の返済額を同じ金額にする方式です。
返済計画が立てやすく、
元金均等返済と比較すると当初の返済額が少なくなる点が特徴です。
<比較>
●借入額4,500万円
●適用利率2.00%
●返済回数360回
【元金均等返済】
●返済予定総額58,537,498円
●初回返済額200,000円
60回目返済額187,708円(返済後残高3,750万円)
120回目返済額175,208円(返済後残高3,000万円)
180回目返済額162,708円(返済後残高2,250万円)
240回目返済額150,208円(返済後残高1,500万円)
【元利均等返済】
●返済予定総額59,878,080円
●毎月の返済額円166,328円
60回目返済後残高3,924万円
120回目返済後残高3,288万円
180回目返済後残高2,585万円
240回目返済後残高1,807万円
<返済額の比較>
●返済額は、162回(13年6か月)までは、元利均等返済の方が低い
●支払総額は、元金均等返済の方が1,340,582円安い
<その他比較>
元利均等返済は、162回までの返済額が元金均等返済よりも低い。
そのため、元金均等返済との差額分を毎年1回、
繰上返済(返済額軽減型:1万円単位)をした場合の効果はいかがでしょうか。
返済額の軽減効果があるのは、
14回目(168回返済直後)までの繰上返済に限られる。
その結果、元利均等返済の返済予定総額は56,771,760円となり、
当初よりも3,106,320円の利息軽減効果になります。
元金均等返済と比較した場合、1,765,738円の利息軽減効果となりますが、
元金均等返済も163回目以降の返済額が減少することで、
元利均等返済との差額を繰上返済していけば、
利息の軽減効果ができるため、
繰上返済を利用することで返済予定総額は引下げることができます。
つまり、繰上返済を活用すれば、
元利均等返済と元金均等返済の返済予定総額に対しては
優劣を付けることができないという回答となります。
<まとめ>
繰上返済を活用すれば、
どちらを選択しても優劣がつかないことがわかりました。
そのため、次の点をポイントとして選択することが望ましいと思います。
●相続税対策として債務控除を大きく取りたい。
●物件購入当初はキャッシュフローに余裕を持ちたい
このようなケースは、
元利均等返済の選択が望ましいです。
上記に当てはまらない場合、
元金均等返済でも月々の返済が可能であれば、
元金均等返済を選択するのが良いでしょう。