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【第304回】弁護士 関 義之が斬る!     「株式の承継について」 その2

●「株式の承継について」

こんにちは。弁護士の関です。

今月は「株式の承継について」を書いていきます。

●株式に関する現状分析、課題の洗い出し

株式に関する事業承継対策を考えるためには、
まず、現状分析を行い、課題を洗い出すことから始めます。

現状分析を行うのに必要な資料は、
“会社の登記事項証明書”、“株主名簿”、
“法人税申告書別表Ⅱ(同族会社等の判定に関する明細書)”、
“定款”の4つです。

確認したい情報は、
①発行済み株式総数、
②株主構成、
③シェア、
④名義株の存在、
⑤所在不明株主の存在、
⑥株主と経営者・後継者との関係などです。

①発行済み株式総数は、会社の登記事項証明書で分かります。
会社の登記事項証明書がお手元にない方は、有料ですが、
「登記情報提供サービス」というWebサイトで、
インターネット経由で登記情報を確認することができます。
https://www1.touki.or.jp/

次に、その全株式について、②株主構成(だれが株主か)と、
③それぞれの株主が何株持っていて、そのシェアは何%かを確認します。
“表”にして書き込むと、課題も検討しやすくなります。
だれが株主かを正式に確認する資料は株主名簿です。
株主名簿がなければ、法人税申告書別表Ⅱ(同族会社等の判定に関する明細書)
で確認します。株主名簿はこれを機会に作成するようにしましょう。

株式に関する“表”を作成していると、
株主として名前が書いてあるけれども、名義を借りただけで、
実際に出資金を出したのは別の方という場合があります。
このような株主のことを③名義株と呼んでいます。
名義株については現在の経営者には特段の支障は生じていないかもしれませんが、
いずれトラブルが起きる可能性がありますので、
事業承継時に、きちんと整理しておくことが望ましいです。

また、間違いなく株主ではあるけれども、
現在、所在が不明で、連絡がとれないという方もいます。
④所在不明株主と呼んでいます。所在不明株主についても、
名義株と同様に、事業承継時に整理することが望ましいです。
以上の現状分析は、後継者に希望どおりに株式を承継させることができるのか、
何らかの支障があるかを検討するために行います。
そのため、⑥株主と経営者・後継者との関係を含め、
気になることは“表”にたくさんメモを書き込んでください。

また、株式を承継する際には、
“議決権”をどれだけ承継できるかという視点が重要です。
通常は、1株式=1議決権ですが、会社法では、議決権を制限したり、
議決権がない株式を発行することもでき、
また、株式の保有者によって議決権の内容を変えることもできます。
前者を種類株式、後者を属人的株式といい、
このような株式がある場合には単純に株式を承継させればよいというものでもありません。
特に、属人的株式は定款にしか記載されていませんので、
定款の確認も忘れないようしましょう。

ここまでは現状分析、課題の洗い出しのお話です。
その後、洗い出した課題について対策を立て、
実行する必要がありますが、対策については、
弁護士や税理士などの専門家によく相談してください。

ABOUT ME
関 義之
関&パートナーズ法律事務所 代表弁護士・中小企業診断士 平成10年3月に早稲田大学を卒業し、その年の10月に司法試験に合格。平成12年10月から弁護士登録。中小企業の総合支援を目標に掲げ、平成23年10月から中小企業診断士にも登録。法人・個人を問わず幅広く紛争に関する相談を受け、代理人として示談交渉や訴訟等に対応するほか、契約書の作成・チェック等、紛争が生じる前の予防法務にも力をいれている。
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