~知ってトクする大家さんの相続問題~
今月号は、保険×不動産マイスター 津曲(つまがり) 巖(いわお)より、
お届けさせていただきます。
前回まで3回にわたり、「相続対策」として早めに準備した「公正証書遺言」は、
「民法上」「税法上」の観点から定期的見直しが必要であること。
要は、
「資産の見える化」=「資産一覧表」を作成することだと改めて、
確認できました。
また、「アラブの相続(ラクダ)」の話から、
不可分の財産を円満に分ける切り札が生命保険であること。
なかでも、「遺留分」請求、「納税資金」としての
「生命保険の有効性」と契約の仕方、特に保険金額の決め方、
保険金受取人の決め方は、その目的によって異なることもお話させていただきました。
最終回の今回は、「税法上」に偏った対策の結果の「悲劇」についてみていきましょう。
●「相続税対策」の切り札は「借金」しての不動産への投資・・・
通称「タワマン節税」と呼ばれる手法にメスが入ったのは周知のことと思います。
今年4月19日、最高裁にて国税の勝訴で確定し、
大きく報じられたのでここで詳細はお話しませんが、概略は以下の通りです。
【概 略】
1.取得したタワーマンション 2戸、売買金額総額は、約13億8,000万円
2.これらの相続時、路線価と固定資産税評価額による課税評価額 約3億3,000万円
3.購入時の銀行からの借金 約10億円
4.相続財産から、3.を引いて、申告した相続税は「0」
という事案でした。
国税側は上記②の評価について「時価」= 約12億7,000万円と評価(伝家の宝刀
「総則6項=財産評価基本通達第6項」を適用)し、
相続人に「追徴課税 約3億円」の更正処分が確定したのでした。
銀行からの借金
約10億円 + 追徴課税 約3億円 = 約13億円
の負担を相続人は負うことが確定したのです。
また、国税の評価通りに売却できたとしても約3,000万円のマイナス。
このような悲劇の当事者にならないためにも、
銀行からの借金をしての不動産投資は十分な注意が必要であり、
専門家の検証、セカンド・オピニオンは必須です。
これは、借金をして未利用地や低利用地に建物を建てるということにも
警鐘を鳴らすものです。
建築メーカーさんや不動産業者さん、
銀行など金融機関が協力して。。。
の名のもと大家さん(地主さん)に各種提案をされるケースは
枚挙にいとまがございません。
建物を建築した後の「キャッシュ・フロー」と「税制上のメリット」、
それによる相続税の「評価減」の比較、
検討が偏っている、もしくは十分になされていないまま実行していないか。
相続後の借金の返済計画に狂いが生じても対応できるか、などなど。
目の前のことから、一次相続、二次相続を見据えた相続対策になっているか。
また、人間が年齢を重ねるように建物も老朽化、
経年劣化など避けて通れないリスク
(メンテナンス費用対効果の検証など)があり、
その対策とキャッシュ・フローの関係など検証できているか、などなど。
多くの事例を持ち対策に対する研究を怠らないプロ集団の見解が
必要不可欠であり重要なポイントです。
大家さん(地主さん)特有の相続問題=不動産という分割の難しい資産の相続には、
専門的かつ経験豊富なプロフェッショナルの伴走者が必要です。
我々(一社)大家さんの道しるべはそんな専門家集団ですので、
お気軽にご相談ください。
早めの対策、争いの予防には不可欠です。