渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第173回
相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q 電子マネーにも相続税は課税されるのでしょうか?
亡くなった場合、電子マネーがあるかをどう確認すればよいのですか?
A
近年、キャッシュレス化が急速に進み、
電子マネーの利用が日常生活に深く浸透しています。
2023年4月からは、労働基準法の改正により、
給与の全額を電子マネーで支払うことが可能になりました。
これにより、電子マネーの普及がさらに加速し、
個人が保有する電子マネーの残高が高額化する傾向にあります。
もし電子マネーを持ったまま相続が発生した場合にはどうなるのでしょうか?
1.電子マネーは相続できる?
電子マネーが相続できるかは、各電子マネーの規約によって定められています。
一般的には、相続ができるように規定されているところが多いです。
例えば、Suica、PASMO、PayPayなどのチャージ残高は相続できます。
具体的な手続きについては各サービス提供会社に確認する必要があります。
2. 電子マネーは相続税の対象になる?その評価は?
相続可能な電子マネーは相続税の課税対象となります。
電子マネーの相続税評価額は、基本的に現金と同等の経済価値を持つものとして扱われます。
例えば、被相続人のPayPayアカウントに10万円の残高があった場合、
その10万円が相続財産として相続税の計算に含まれることになります。
つまり、相続税の申告をするにあたり、相続財産に含めなければならないのです。
被相続人がどのくらい電子マネーを保有しているかを
確認しなければ漏れてしまう可能性があるのです。
3. 亡くなった人が電子マネーがあるかわからない。どうすればよい?
被相続人が電子マネーを保有しているかどうかは、調べないとわからないものです。
被相続人が保有していた電子マネーを特定するには、以下の方法があります。
①スマートフォンやパソコン、タブレットなどの電子機器を確認し、
電子マネーのアプリがインストールされていないか調べる。
②銀行口座の入出金明細やクレジットカードの利用明細を確認し、
電子マネーへのチャージ履歴を探す。
③メールアカウントを確認し、電子マネーサービスからの通知がないか調べる。
④めぼしい電子マネー発行会社に問い合わせてみる。
パスワードが不明でアクセスできない場合でも、
電子マネーの存在が確認できれば相続税の対象となるので、
諦めずに問い合わせてみましょう。
4.電子マネーを相続する際の注意点
電子マネーが相続財産になることを踏まえて、以下の点に注意が必要です。
①パスワード管理
電子マネーのアカウントやスマートフォンのパスワードを家族に知らせておくか、
安全な場所に記録を残しておくことが重要です。
②残高の把握
定期的に電子マネーの残高を確認し、記録しておくことで、
相続時の財産把握が容易になります。
③利用規約の確認
各電子マネーサービスの相続に関する規約を確認し、
相続手続きの方法を把握しておくことが大切です。
④デジタル遺産の管理
電子マネーを含むデジタル資産の管理方法を事前に検討し、
必要に応じて遺言書に記載することも考慮しましょう。
電子マネーの普及に伴い、相続における取り扱いも複雑化しています。
自身の電子マネーについても、将来の相続を見据えた管理を心がけることが重要です。
《セミナーのお知らせ》
1.北関東ぐんま大家の会でリアルセミナー
『大家さん専門税理士が語る!キャッシュが激増する無敵の賃貸経営』
日時:9月7日(土)15:00~17:30(終了後、懇親会あり)
場所:ROSSA(ロッサ)群馬県高崎市連雀町7-2 エンザビル2F
費用:5,000円(懇親会別途5,000円)
申し込み:https://ex-pa.jp/item/55112
《書籍出版のお知らせ》
10月に不動産賃貸業に特化したインボイスの本が出版されました。
『不動産賃貸業のインボイス対応Q&A50』
『不動産オーナーに代わって管理会社がインボイスの発行はできる?
その方法は?』など
賃貸業ならではのマニアックな質問を50個用意しました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CKXFP26Y