渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第157回
今回から相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q
今後父から相続を受ける予定です。父の所有している財産の中に、山林があります。
固定資産税はかかっていないようですが、何も利用されていません。
相続放棄すれば、この山林を相続しなくてもよいですか?
A
相続放棄は、最初から相続人ではなくなります。
一部分の財産だけを放棄することはできません。
全ての財産及び債務を引き継がないことになります。
一部の財産を手放すためには、次の方法があります。
(1)国や地方公共団体への寄付
負担金などの費用が発生しませんが、寄付を受け付けてくれるかどうかが難しいです。
(2) 売買や贈与をする
第三者に売買したり、0円で譲渡(贈与)を受けてくれる人を
見つけられるかが課題になります。
(3)相続土地国庫帰属制度を利用する
上記が難しい場合には、こちらの制度がおすすめです。
令和5年4月27日からスタートした制度で、
相続又は遺贈により取得した利用しない土地について、
土地を国に手放すことが可能です。
1筆の土地単位で手放すことができますが、
土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した
10年分の土地管理費用相当額(原則20万円)の負担が必要になります。
申請できる要件が決まっています。
次の土地は申請ができません。
◯建物の存する土地
◯担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
◯道路、墓地、境内地、水道用地、用悪水路、ため池が含まれる土地
◯土壌汚染対策法に規定する特定有害物質により汚染されている土地
◯境界が明らかでない土地その他所有権の存否、帰属又は範囲に争いがある土地
また申請ができても、審査によって不承認になることがあります。
《不承認となる土地(一部)》
◯崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)
がある土地のうち、通常の管理に過分の費用又は労力を要するもの
◯工作物、車両又は樹木その他有害物が地上に存する土地
◯除去しなければ管理又は処分することができない有体物が地下に存する土地
◯国による整備(造林、間伐、保育)が必要な森林(山林)
など
申請期限はありませんので、
申請する前までに要件を満たせるようにしておくことも手法の一つかと思います。
とくに境界がはっきりしていないと申請ができないため、
隣地所有者と相談して境界点を明確にしておくことが考えられます。
なお、申請にあたり測量は必要ありません。
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