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仮想通貨の相続税評価とデメリット

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第166回

今回から相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。

Q 
仮想通貨の取引を毎年行っています。私に相続が発生した場合には、
仮想通貨も相続税の課税対象になるのでしょうか?
課税されるとしたら、どのように評価されるのでしょうか?

A
1.仮想通貨が相続税の課税対象になるか?
国税庁の「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」
には次の通り記載されています。

『暗号資産については、決済法上、
「代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる財産的価値」と
規定されていることから、被相続人等から
暗号資産を相続若しくは遺贈又は贈与により取得した場合には、
相続税又は贈与税が課税されることになります。』

仮想通貨についても相続税の課税対象になるのです。

2.仮想通貨の相続税評価はどうする?
仮想通貨がメジャーなコインか、
マイナーなコインかによって評価方法が分かれます。
(1)活発な市場が存在する場合
「活発な市場が存在する」場合とは、
暗号資産取引所又は暗号資産販売所において十分な
数量及び頻度で取引が行われており、
継続的に価格情報が提供されている場合をいいます。
ビットコインなどメジャーなコインが当てはまります。
こちらは、暗号資産交換業者が公表する課税時期における取引価格によって評価します。

例えば、「相続開始日における仮想通貨取引所が発行する残高証明書の金額を評価額」や
「相続開始日における取引所の売却価格」を評価額とすることになります。

(2)活発な市場が存在しない場合:
マイナーなコインについては、仮想通貨の内容や性質、取引実態等を考慮し、
売買実例価額や専門家の意見価格などを参考にして評価します。
いずれにしても、相続税評価時点での「時価」で評価することになります。

3.仮想通貨の相続のデメリット
一般的に仮想通貨の価格の変動は激しいものとされます。
上場株式であれば、一定程度の価格変動に対して取引所がストップをかけていきますが、
仮想通貨はまだ整備がされていないため、大きく価格が上昇したり、下落します。

相続時時点で上昇し、相続日の翌日には下落することも考えられます。
しかし、仮想通貨の相続税評価は相続時の時価になります。

一方、上場株式の相続税評価については、
相続時時点の価格が上昇してしまうことを考慮し、
次の4つの価格のうち、
【一番低い金額】を採用することができるようになっています。

①相続開始日の終値
②相続開始月の終値の平均額
③相続開始月の前月の終値の平均額
④相続開始月の前々月の終値の平均額

仮想通貨と上場株式を比較すると、
同じ投資であっても上場株式の方が優遇されていると言えます。

また、上場株式は物納の対象になりますが、仮想通貨は物納の対象になりません。
この点も仮想通貨のデメリットと言えます。

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ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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