ブログ

NISAで運用した株式。相続税課税される?

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第171回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。

Q NISAで運用している株式については、
所得税がかからないということでNISAを始めました。
私に相続があった場合には、相続税は課税されるのでしょうか?

A
1.2024年からのNISA
NISA口座内で運用する株式の配当や売却益については、
所得税・住民税が非課税になります。
2024年1月から、新しいNISA制度が開始されました。
大きな特徴が4つあります。

①生涯非課税限度額
新NISAでは、生涯にわたって非課税で投資できる限度額が
1,800万円(うち、成長投資枠は1,200万円)に設定されています。

年間投資上限額
年間の非課税投資上限額は360万円です。
このうち、つみたて投資枠が120万円、
成長投資枠が240万円に分かれています。

③無期限化
新NISAでは、非課税保有期間が無期限となり、
長期的な保有を目的とした投資が可能になりました。

④枠の復活
投資した資産を売却することで、
その分の非課税枠が翌年以降に復活し、
再利用が可能になりました。

.相続税が課税されるか?
NISAで運用している株式や投資信託については、所得税は非課税ですが、
相続が発生した場合には相続税の対象となります。

上場株式の評価であれば、
次の価格のうち一番低い金額で評価します。

①相続開始日の終値
②相続開始月の終値の平均額
③相続開始月の前月の終値の平均額
④相続開始月の前々月の終値の平均額

つまり、値上がり益に対しても、相続税が課税されることになります。
NISAは相続税まで非課税にはなっていない点にご注意ください。

3. 相続人はNISAを引き継げる?
相続人は、被相続人のNISA口座をそのまま引き継ぐことはできません。
NISAで保有していた株式等は、相続人の一般口座や特定口座に移されます。
移管された後の配当や売買益は所得税の課税対象となります。
なお、NISAで運用した株式を相続した場合、
被相続人の取得日と取得価額を引き継ぎません。
被相続人が亡くなった日の終値が、相続人の取得価額となります。

つまり、相続人が相続後、すぐに株式を売却した場合、
利益はゼロとなり所得税・住民税が課税されないということです。
仮に、相続時から売却時まで値上がってしまっていても、
相続から3年10ヶ月以内に売却することで
支払った相続税の一部を譲渡税から控除してもらえる
「相続税の取得費加算の特例」が適用できます。

NISAで値上がり益が出ていたとしても、
相続前に売却しないと損をすることはないと考えられます。

《セミナーのお知らせ》
1.売却のタイミングのオンライン無料セミナー
『大家さん専門税理士が語る!
売り時を逃すな!所有物件を高く売る3つのコツ』
第二部で渡邊が講演します。
日時:9月1日(日)10:00~12:00
費用:無料(ビズアナオーナー会員の登録(無料)が必要です。)
申し込み: https://www.o.biz-ana.com/seminar/seminar20240901/
(主催:株式会社CBIT)

2.北関東ぐんま大家の会でリアルセミナー
『大家さん専門税理士が語る!キャッシュが激増する無敵の賃貸経営』
日時:9月7日(土)15:00~17:30(終了後、懇親会あり)
場所:ROSSA(ロッサ)群馬県高崎市連雀町7-2 エンザビル2F
費用:5,000円(懇親会別途5,000円)
申し込み:https://ex-pa.jp/item/55112

《書籍出版のお知らせ》
10月に不動産賃貸業に特化したインボイスの本が出版されました。
『不動産賃貸業のインボイス対応Q&A50』
『不動産オーナーに代わって管理会社がインボイスの発行はできる?
その方法は?』など
賃貸業ならではのマニアックな質問を50個用意しました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CKXFP26Y

ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
さらに詳しく知りたい方へ