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不動産の贈与。登記しなくても贈与は主張できる?

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第194回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。

Q不動産を子に贈与することを考えています。
不動産登記をしなくても、税務署に贈与したと主張できますか?

A
不動産の贈与契約は、贈与者(親)と受贈者(子)の
双方の意思表示が合致した時点で法的に成立します。

《民法第522条》
1.契約は、契約の内容を示してその締結を
申し入れる意思表示に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2.契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、
書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

極端な話、口約束でも契約は成立するのです。

一方、不動産については、登記制度があります。
不動産の贈与については、登記をしないと契約が成立しないのでしょうか?

民法549条では
「贈与は、当事者の一方がある財産権を無償で相手方に与える意思を表示し、
相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」
と定められており、書面作成や登記は契約成立の要件ではありません。

不動産の贈与であっても、
登記は絶対に必要ということではないのです。

というのも権利に関する登記は、強制されていないのです。
不動産登記をすることで、
第三者に所有権を主張することができるという
対抗力を持つことになります。

対抗力とは、二重契約などで、
自分に所有権があると主張する別人が表れたときには、
登記がある人が優先されるということです。

対抗力を得るために登記が必要であって、任意とされています。

それであれば、不動産登記をしなくても
贈与自体が成立していれば、税務署に贈与は主張できるのです。

しかし、贈与税を回避するために、
不動産登記をしないのは贈与を認められない可能性があります。

過去の裁判事例(平成9年1月29日裁決、平成15年3月25日裁決)では、
公正証書によって不動産を贈与する契約を締結して、
贈与契約成立を主張しましたが、贈与税の申告をせず、
7年の贈与税の時効を過ぎたあとに所有権を移転しているなどが、
租税回避のみを目的とした形式的な文書にすぎないという理由から、
贈与契約が成立したと認めることができないと判断されています。

租税回避とならないためにも、不動産登記をしておいた方がよいでしょう。
また、不動産登記をしなくても、
贈与税の申告や固定資産税の名義変更はしておくことは
贈与を税務署に認めさせるためには必須と考えます。

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ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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