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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第五十七回】
不動産鑑定士×一級建築士 田口 陽一が斬る!①

不動産鑑定士が贈る“ご近所アルアル!”       ~其の1 土地境界編~              

不動産鑑定士・一級建築士の田口です。
今年も残すところ僅かになってきましたね。
ところで皆さん、ご近所づきあい、きちんとされていらっしゃいますか??

最近ストレス社会だからなのか、個人主義の時代だからなのか、            多いですね、対人トラブル。
東名高速のトラブルのニュースを見て、ドライブレコーダーを購入する人が       増えているそうです。
人と人との関係があっての社会なわけですが、まずは自分の権利主張、
という傾向が強まっているように思います。
不動産でも、昔から多いのが近隣トラブル。対人トラブルの典型的な
ものの一つといっていいかもしれません。最近ではゴミ問題とか、
ひどい事例としてはバーベキューしている最中に不幸な事件が発生するようなことも   実際に起きています。

近隣トラブルも決して他人ごとではありません。
自分のことだと思って日々対策を!

そんなことで、もう一度お聞きしますが、
皆さん、ご近所づきあい、きちんとされていらっしゃいますか??

「ああ、もちろんだよ、そんなの当たり前だよ」
ありがとうございます。
大家さんの皆さんであれば、賃貸物件もご近所さんがいらっしゃいますよね?
お持ちの物件についても、それぞれご近所づきあい、                 大丈夫でしょうか?

「ん?そこまで考えてなかったな」
「自分が住んでいるわけじゃないからわからねえよ」
「管理会社がちゃんと清掃とかしているから大丈夫じゃね?」

なんて声も聞こえてきそうです。
賃貸物件ですと、特に人任せにしやすいですよね。

こんなことがありました。

土地取引に関わらせて頂く際に、測量を手配したら、測量事務所さんにこんなことを言われたんです。
「いやあー測量よりハンコ取りが大変ですよ~、日中いないので、           夜討ち朝駆けですよ(笑)」

(測量事務所さん)
「お隣の●●さん、相続になっているみたいで、今回の境界承諾の相手が“誰”なのか、  はっきりしないんですよねえ・・・」
「挨拶回りしたら、『毎年毎年、これまで私がお隣から飛んできた落ち葉を掃除して   きたんですよ!!角が立つから今まで言わなかったけど!!』なんて、         隣地の奥さんに言われてしまいましたよ。」

「失礼な言い方ですけど、こちらのオーナーさん、お隣さんとはうまくいって      なかったんですか??それならそうと早く言って下さいよ!!」etc・・・

これまでのお隣さんとのお付き合いやトラブルが、測量・境界立会の時に        噴出してしまうんですね。

普段のご近所づきあいが、境界承諾に大きな影響を及ぼしてしまうということですね。

過去、隣地とのトラブルを抱えた土地というのは、まとまる話もまとまらない。
売却しようにも苦労してしまう。                          今の時代、ご近所づきあいなんて時代遅れでしょ、なんて言わずに、
是非気をつかってお付き合いをして下さいね。

何故なら土地売却には、小規模な個人間取引(現況売買の場合あり)は別としても、
「確定実測」が資金決済の前提となることが普通。

「確定実測」の意味するところは、隣地所有者の承諾印が必要だということ。

この「隣地」には国・都道府県・市町村も含まれますよ。
道路境界がしっかりと定まっていない場合には、
現地に杭があっても安心できません。杭の位置は大丈夫ですか?
杭が無くなっていたりしませんか?
道路境界の確定や杭の復元には、自分自身の土地のみならず、
隣接地やお向かいの土地所有者までも巻き込んで、立会の同意が必要になる場合が    あります。
自分と役所と、それにご近所さんが絡んできてしまうということです!

「俺はいいよ、別に売却しないし。」
そうですかね?
売却しなくたって、
【土地を分けたい→分筆したい】
この場合も確定実測が必要ですよ!
隣地所有者の境界承諾がないと法務局は受け付けてくれませんよ!
自分の土地なのに!

だからご自身の土地の資産価値を維持する為にも、
ご近所づきあいって重要なんだ、ってことがわかりますよね。

ですから皆さん、賃貸物件についてもちょっと普段から気にしてみて下さいね。
「俺は区分所有オーナーだから関係ねえよ」って??
確かにそうかもしれませんね。でもほんとにそうでしょうか。
そんな方は次回をお楽しみに!

ABOUT ME
田口陽一
明治大学理工学部建築学科卒業。一級建築士、不動産鑑定士、宅地建 物取引士、マンション管理士。東京建物株式会社にて、不動産鑑定評 価、都市再開発、オフィスビル売買・運営、SPCスキームを活用した 不動産事業等、理論・実務の両面から不動産業務を経験し実績を残す。 不動産ソリューションは、実践的経験が何より重要であるばかりでな く、建築・税・法務・金融・理論的評価・現実の売買等々、複合的領 域にわたることから、常に複眼思考でベストな解決策を構築している。 鑑定評価や売買のみならず、バランス重視のハイブリッドなアドバイ ザリーを得意とする。
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