~個人事業主か法人化か? 考えるヒント~
今月号は、保険×不動産マイスター
津曲(つまがり)巖(いわお)より、お届けさせていただきます。
前回は、「個人事業主」としての
「大家さん業」での「税制」面からみてきまし
たが、いかがだったでしょうか。
特に、「社会保険料(健康保険料)」については、要注意です。
さて2回目の今回は、個人事業主としての
「所得税」と法人化した場合の「法人税」についてみていきましょう。
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● 個人事業主として「所得税」を振り返る
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個人事業主は、暦年で所得に応じて「所得税」という税金が課せられます。
(住民税ももちろん)
大家さんの場合、「所得税」の課税対象となるのは、
家賃等の事業収入(総売上)から、
広告宣伝費、修繕費等の「必要経費」を引き、
更に「基礎控除」や「配偶者控除」「社会保険料控除」など
控除額を差し引いた金額です。
その課税される金額に対して「所得税」の税率は次の表のように定められています。

上の表の通り、個人の所得税は「累進課税」されるので課税所得金額により、
5%から最高45%までの高い税率が適用されてしまいます。
更に、「住民税」も上乗せされますので、
最高税率は55%にもなってしまうのです。(復興税は考慮しておりません。)
一方、「法人化」した場合の法人税はどうでしょうか。
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● 法人化した場合の「法人税」をみてみましょう
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法人化した場合、その組織形態(株式会社か合同会社等)、
所得の大きさによらず、一定の「比例税率」となっています。
また、中小企業の税負担を軽減するため、
資本金1億円以下の法人などは、税率が低く設定されています。
法人税は、法人の事業年度の所得に対して課せられる税金で、
税法では、「売上」など会社の収益にあたるものを「益金」、
費用にあたるものを「損金」といい、「益金」から「損金」を
引いたものが課税所得となります。
ここで注意が必要なのが、「費用」のうち「損金」に
なるものとならないものが定められている点です。
これを「損金不算入」と言います。その例として、
「交際費」は原則「損金不算入」ですし、事前に届け出ていない「役員賞与」、
過大とみなされる「役員報酬」なども「損金不算入」となります。
つまり「収益(益金)-費用(損金)=利益(所得)」とはなりません。
益金にいれるものと損金に入れないもの(損金不算入)のものは
「プラス」して、益金に入れないものと損金にいれるもの(損金算入)のものは
「マイナス」する税務調整をして、法人税の計算となります。
法人税率は次の表のように一律なのです。

上の表の通り、法人税は、比例税率であるため、
最高でも23.20%となっています。
このため、個人としての「所得税率」が「23.20%」を超えるところが、
法人化を考える切っ掛けとなるかたが多いです。
次回は、法人化のメリット・デメリットについて、
考えるヒントにふれていきましょう。
