賃料と鑑定評価
不動産鑑定士住宅診断士の皆川聡です。
今回も賃料の鑑定評価の活用のポイントについて、
今回はより突っ込んで、より具体的にお伝えさせていただきます。
こちらをお読みいただけている方の殆どは投資家の皆様だと思いますので、
賃料増減額のうち、特に増額の可否につきまして、記載させていただきます。
まず、一番大切なこととして、今の賃料がいつ決まったかということです。
この時点を直近合意時点と言います。
直近合意時点における現行賃料と現在との比較で、
以下の5点の賃料増額の主な指標をご確認いただき、
賃料増額の可能性のご確認下さい。
1.現行賃料と比べて、最近の周辺の市場賃料が上昇しているか?
2.直近合意時点の地価と現在の周辺地価の上昇
https://aoifk.com/ ⇒ 参考リンク集 ⇒ 『地価公示・地価調査 Googleマップ版』
右側に住所検索すると、周辺の地価公示のポイントが出てきます。
その青(公示地)や赤(基準地)をクリックすると、
分かり易い「地価の変動のグラフ」が出てきます。
これにより、地価の上昇が峻別できます。
ですが、用途(住居系、商業系)により地価の上昇率が異なりますので、
類似性の高い公示地等をお選びいただき、
そちらと対象地とを比較しご検討にご活用下さい。
また、地価の上下の変動に比べて、
賃料の上下は遅かったり、またその幅も小さかったりしますので、
その点は、市場賃料との比較検討をもお薦め致します。
3.直近合意時点より今までの間に、
対象建物の大規模修繕等により資産価値がアップしたと見込まれる場合
建物にかけた費用は、投下資本ですので、
その資本を回収するだけに見合った賃料を増額できる余地があるかがポイントになります。
そこで単なる修繕等で価値の増価(価値アップ)に見合わなければ、
そのことのみを要因としての賃料増額要請は難しくなります。
ですが、その点を、住宅診断や建物診断にて反映できる不動産鑑定士へお願いすると、
より精緻に賃料評価を行っていただけますので、
そのような住宅診断や建物診断に強い不動産鑑定士へのお問合せもお薦めいたします。
4.直近合意時点に比して、物価スライド等の経済スライド指数が上昇した場合
主なものとして、土地建物価格の変動、
企業向けサービス価格指数、消費者物価指数、
商業統計、建築工事費デフレーター等があります。
5.店舗等の場合に、その店舗の売り上げが、直近合意時点に比べて、
上がっている場合
店舗の場合には、賃料負担力という概念があります。
収益賃料的な意味合いです。
簡単に言いますと、
『その立地にあるから、
それだけの売上や利益を叩き出せる潜在力がある土地建物なのですよね。
でしたら、その分家賃(地代)を増額してくれてもいいんじゃないの?』
というイメージになります。
ですので、一般的に、リーマンショック以降、空室率が高かった時代で、
賃料も低くせざるを得なかった時代に賃貸借契約を締結してしまった、
特に店舗のオーナー様にとりましては、比較的賃料増額ができ余地があります。
そしてまた、その賃料増額後に、
その投資物件を高く売却されていらっしゃる方も見受けられます。
事務所の場合も、コロナ前までは良かったのですが、
昨今では、テレワークなどの影響もあり、
あまり大きく上昇を見込めない場合もありますが、
現行賃料と市場賃料との差額次第のイメージになります。
住居系は比較的難しい傾向にありますが、上記5つをご確認いただけますと幸いです。
今回も最後までお読みだきましてありがとうございます。
皆さまの不動産投資がさらによろしい方向へ進んでいただきますよう
心よりお祈り申し上げます。
以上