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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第321回】不動産鑑定士・住宅診断士
皆川 聡が斬る!③

令和4年6月7日東京地裁判決 一括譲渡土地建物、
固定資産税評価額按分ではなく、鑑定評価額で按分

皆様こんにちは。

不動産鑑定士・住宅診断士の皆川聡です。

今回は、「一括譲渡土地建物、固定資産税評価額按分ではなく、
鑑定評価額で按分」という令和4年6月7日の東京地裁の判決は、
令和2年9月1東京地裁判決と類似しており、
固定資産税評価額での按分が否定されるということについて、
住宅診断を反映した鑑定評価を行っている立場から、お伝え致します。

(1)まず、固定資産評価基準の定める評価方法について記載します。
固定資産評価基準の定める評価手法は、適正な時価を算定する方法として
一般的な合理性を有するものであるとしても、
この評価方法に従って決定された価格は、
特段の事情のない限り、当該資産の客観的な交換価値としての適正な時価を
上回るものではないことが推認されるにとどまるものというべきです。

(2)また、地方税法が、
当該資産の客観的な交換価値を上回らないようにすることのみならず、
全国一律の統一的な評価基準による評価によって、
各市町村全体の評価の均衡を図り、
評価に関与するものの個人差に基づく評価の不均衡を
解消することを目的とするものです。

(3)一方で、鑑定評価は、適正な鑑定の評価の過程において
考慮の対象とされるような当該資産の個別的な事情については
ある程度捨象されることを前提としているものということができます。

その上で、(消費税の課税標準の額を計算するために、
一括して譲渡された土地及び建物対価の額を按分する方法として、
固定資産評価額による価格比を用いることは、一般的には、
その合理性を肯定し得ないものではないが、
当該資産の個別事情を考慮した適正な鑑定が行われ、
その結果、固定資産税評価額と異なる評価がされ、
価額比においても実質的な差異が生じた場合には、
もはや固定資産税評価額による価額比を用いて
按分する合理性を肯定する根拠は失われ、
適正な鑑定に基づく評価額による価格比を用いて按分するのが
より合理的になると言うべきである。)と東京地裁の裁判長は判示しています。

長すぎますので、より簡潔にまとめますと、
固定資産税評価額の価格比による按分は肯定し得ないものではないが、
鑑定評価額による按分と異なる場合には、(ほぼ100%異なります。)
固定資産税評価額による按分の合理性を肯定する根拠が失われ、
鑑定評価額による価格比を用いて按分するのがより合理的になると
東京地裁の裁判長は判示しています。

一方、鑑定評価額は、鑑定評価基準に基づき、
時価により評価を行っております。
但し、上記の不動産鑑定評価額は、本当にしっかり建物を調査(定性分析)して、
それを評価額に落とし込む(定量分析)を行ったものかは不明です。

弊社では、住宅診断を反映した鑑定評価を行い、
可能な範囲もありますが、建物をできる限り調査を行い、
適正に評価を行っているものと自負しております。
その建物の劣化状況や今後のメンテナンスのポイントなどもお伝えしており、
実質的な評価のみならず、
お客様のお持ちの不動産が元気で長生きしてくれるように、
しっかり提案させていただきます。

この度も最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。

皆々様の不動産投資の御発展と御健勝を心よりお祈り申し上げます。

以上

 

ABOUT ME
皆川聡
株式会社Aoi不動産鑑定 大手不動産鑑定会社に約8年従事し、メガバンク、政府系金融機関、地銀、信用金庫、信用組合などの金融機関の担保評価をメインに約2500件の案件を携わり、国際線ターミナルの評価の実績もあり。 退職後、平成27年4月に開業。 開業後は、税務対策の鑑定評価や裁判調停等の鑑定評価での多数実績。住宅診断を反映した鑑定評価にて、より清緻な鑑定評価を行っており、鑑定評価額だけではなく、皆様の建物の日ごろのメンテナンスのポイントなどもご提案し、ご好評をいただいております。また2020年10月には、相続税の還付請求にて、他の不動産鑑定士が国税不服審判所にて否認された案件を、その後当職が不動産鑑定を担当。圧倒的な不動産鑑定評価により、東京地裁において、国税庁との裁判で無事完全勝訴しております。
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