渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第251回
相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q不動産賃貸経営と太陽光発電をしている法人の
株価計算をする場合、
類似業種比準価額の計算で選択する類似業種の業種は、
どのように選べばよいですか?
A
非上場会社の株式の評価で使う「類似業種比準価額」は、
国税庁が公表する業種目の中から、自社に該当する業種を選んで計算します。
不動産賃貸と太陽光発電を併営している法人の場合、
どの業種目を選ぶかによって株価が大きく変わることがあるため、
慎重に判断する必要があります。
1.業種目の選び方の基本ルール
類似業種比準価額の計算では、
国税庁が毎年公表する「業種目別株価表」の中から、
自社の事業に該当する業種目を選びます。
業種目には「大分類」「中分類」「小分類」の3つの階層があります。
小分類がある場合は小分類を使うのが原則です(財産評価基本通達181)。
どの業種目に該当するかは、
「直前期末以前1年間の取引金額(=目的事業の収入金額)」
の割合で判定します(財産評価基本通達181-2)。
国税庁の対比表によると、
不動産賃貸業は「不動産賃貸業・管理業」
(業種目番号93)に該当します。
一方、太陽光発電で売電収入を得ている場合は、
「電気・ガス・熱供給・水道業」(業種目番号51)に該当します。
つまり、不動産賃貸と太陽光発電は大分類レベルで
異なる業種に分かれているということです。
2.どちらかが50%を超えるかがポイント
業種目の判定では、
まず収入金額の割合が50%を超える業種目があるかどうかを確認します。
たとえば、賃料収入が全体の60%を占めていれば、
業種目は「不動産賃貸業・管理業」(93番)になります。
逆に、売電収入が60%であれば「電気・ガス・熱供給・水道業」(51番)です。
問題は、どちらも50%を超えない場合です。
不動産賃貸と太陽光発電は大分類が異なるため、
通達の判定ルールに従うと、
最終的に「その他の産業」(業種目番号115)に
該当する可能性があります。
3.上位の業種目を選択できる
ここで重要なのが、
業種目は必ずしも小分類を使わなければ
ならないわけではないということです。
財産評価基本通達181では、
小分類に該当する業種目が原則ですが、
納税者の選択によって、中分類や大分類を使うこともできるとされています。
つまり、小分類で「その他の産業」(115番)に
該当してしまう場合でも、
大分類や中分類の中に自社に近い業種目があれば、
そちらを選択できる可能性があるということです。
たとえば、不動産賃貸の収入割合が高い場合には、
大分類の「不動産業、物品賃貸業」を選択する方法が考えられます。
小分類・中分類・大分類のそれぞれで株価を計算し、
最も有利な業種目を選択することが実務上のポイントです。
上位の業種目を選択できるとはいえ、
いくつかの注意点があります。
まず、業種目が変われば、計算に使う類似業種の株価(A)や、
配当・利益・純資産の比準数値(B・C・D)もすべて変わります。
大分類を選んだからといって必ずしも有利になるわけではないので、
実際に計算して比較することが大切です。
また、太陽光発電は、
会計処理上「営業外収益」に計上されることがありますが、
通達上は「目的事業に係る収入金額」で判定するため、
勘定科目ではなく事業の実態で判断します。
定款に太陽光発電事業が記載されていれば、
営業外収益であっても目的事業の収入になるということです。
4.まとめ
不動産賃貸と太陽光発電を併営する法人では、
収入金額の割合によって該当する類似業種が変わり、
株価に大きな影響を与えます。
小分類だけでなく、
中分類や大分類も選択できますので、
それぞれの業種目で株価を計算し、
最も有利な業種目を選ぶようにしましょう。
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