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アパートの取り壊しは、年内と年明けでどちらが得?

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第274回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。


Q
築45年の木造アパート(10戸)を持っています。
敷地は300㎡で、土地の固定資産税評価額は
6,000万円、家屋は250万円です。
入居率が落ちて家賃もあまり入らないので、
取り壊して月極駐車場にすることにしました。
空いている期間を少しでも短くしたいので、
年内に壊してしまおうと思っています。
年内に取り壊すのと、年明けに取り壊すのでは、
固定資産税は変わりますか?

 

A
1か月で約47万円変わります。
固定資産税は、1月1日に何が建っているかで1年分が決まる税だからです。

1.1月1日の現況で、その年度が決まる
固定資産税も都市計画税も、賦課期日は1月1日です。
この日の状態で、その年度の1年分が決まります。
住宅用地かどうかも同じです。
1月1日に住宅が建っていなければ、
その年度は住宅用地ではありません。

2月に壊しても12月に壊しても、
その年度の扱いは変わりません。
日割りもありません。
ですから、12月31日に壊すのと1月2日に壊すのとでは、
1年分が丸ごと入れ替わります。

2.1か月ずらすと47万円
固定資産税率1.4%、都市計画税率0.3%とて計算すると、

【1月1日にアパートが建っていない場合】
土地は住宅用地ではなくなります。
土地・固定資産税 6,000万円 × 70% × 1.4% = 58万8,000円
土地・都市計画税 6,000万円 × 70% × 0.3% = 12万6,000円
家屋 0円
合計 71万4,000円

【1月1日にアパートが建っている場合】
土地は住宅用地のままです。10戸ですから、
10戸×200㎡=2,000㎡までが小規模住宅用地にあたり、
敷地300㎡はその全部が6分の1(都市計画税は3分の1)で計算されます。
土地・固定資産税 6,000万円 × 1/6 × 1.4% = 14万円
土地・都市計画税 6,000万円 × 1/3 × 0.3% = 6万円
家屋 250万円 ×(1.4% + 0.3%) = 4万2,500円
合計 24万2,500円

差額は47万1,500円です。

年内に壊せば、家屋にかかっていた4万2,500円は消えます。
しかし土地で51万4,000円多く払うことになります。

なお、住宅用地でなくなった土地の課税標準は、
評価額の70%を上限として計算しています。

取り壊したあとは、
1か月以内に建物の滅失登記を申請してください。
登記が残っていると、
もう建っていない家屋に課税が続くことがあります。

3.建て替えるなら、話は逆になることもある
同じ取り壊しでも、
次に住宅を建てるのであれば、
1月1日に更地でも住宅用地のままにできる余地があります。

総務大臣の通知では、住宅用地の
「敷地の用に供されている土地」に、
既存の家屋に代えて家屋が建設中であるものが
含まれるとされています
(地方税法の施行に関する取扱いについて
(市町村税関係)第3章第2節第1の20(1))。

実務上は、次の要件をすべて満たす場合に住宅用地として扱われます。
・前年度の1月1日に住宅用地であったこと
・その年度の1月1日に住宅の建設に着手しており、翌年度の1月1日までに完成すること
・建替え前と同一の敷地で行われること
・土地の所有者が前年度の1月1日と原則として同一であること
・家屋の所有者が前年度の1月1日と原則として同一であること

「着手」の判定は市町村で分かれます。
基礎工事(水盛り・遣り方)に
入っていることを求めるところもあれば、
建築確認申請が受け付けられていれば
足りるとするところもあります。

申告も必要で、
期限を翌年1月31日と定めている市町村もあります。

この特例があるので、
建て替えであれば年内に壊しても構わない場合があります。
ただし、駐車場にするのであれば使えません。
建てるのが住宅でなければ、そもそも対象外です。

4.駐車場にアパートを建てるときも、1月1日
逆向きも同じです。
駐車場をやめてアパートを建てる場合、
1月1日に完成していなければ、
その年度は住宅用地になりません。

建替え特例も使えません。
前年度の1月1日に住宅用地であったことが要件ですから、
駐車場からの新築は入らないのです。

竣工が12月末か1月かで、1年分が変わります。
建築のスケジュールを組む段階で、ここを見ておいてください。

5.まとめ
解体の日によって、数十万円の固定資産税が異なることがあります。
解体の見積りを取るときに、着手を1月以降にできるかを確かめてください。
着手の判定や申告の期限は市町村ごとに違います。

ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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