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吉田秀敏の大家さんとONE TEAM!
第7回「贈与税(暦年課税)」

贈与税(暦年課税)についてご紹介いたします。

 

贈与税は、個人が個人から財産をもらったときに、そのもらった人に対して課税される税金です。また、自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合、あるいは債務の免除などにより利益を受けた場合にも贈与を受けたとみなされて贈与税がかかります。

 

1.暦年課税

贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間に個人から贈与を受けた財産について次のとおり計算します。

 

贈与税(暦年課税)の計算方法

{課税価格―基礎控除(110万)}× 税率 ― 控除額 = 贈与税額

(A)          (B)    (C)

 

【贈与税の税率表】

(A)基礎控除後の
課 税 価 格
一般税率
(一般贈与財産)
特別税率
(特例贈与財産)
(B)税率 (C)控除額 (B)税率 (C)控除額
        ~  200万円以下 10% 10%
200万円超 ~  300万円以下 15% 10万円 15% 10万円
300万円超 ~  400万円以下 20% 25万円
400万円超 ~  600万円以下 30% 65万円 20% 30万円
600万円超 ~ 1,000万円以下 40% 125万円 30% 90万円
1,000万円超 ~ 1,500万円以下 45% 175万円 40% 190万円
1,500万円超 ~ 3,000万円以下 50% 250万円 45% 265万円
3,000万円超 ~ 4,500万円以下 55% 400万円 50% 415万円
4,500万円超 ~ 4,500万円以下 55% 640万円
特別税率
直系尊属(祖父母や父母等)から、その年の1月1日において20歳以上の者
(子・孫等)への贈与税の計算に使用します。

 

計算例

①父が25歳の長男に1,000万円を贈与した場合(一般税率)

贈与額     基礎控除

(1,000万円 ― 110万円)×30%-900,000円=1,770,000円

 

②父が長男の配偶者(子の妻)に1,000万円を贈与した場合(特別税率)

 

贈与額     基礎控除

(1,000万円 ― 110万円)×40%-1,250,000円=2,310,000円

 

 

 

2.贈与による相続対策

①贈与税の基礎控除の活用

贈与税には、1年あたり受贈者(贈与を受ける人)一人当たり110万円の基礎控除額があります。

仮に妻・子・孫2人の計4人に1年間で各110万を贈与した場合年間440万の財産を圧縮することができます。

贈与した者が亡くなった場合の相続税の計算においては「相続開始前3年以内の贈与の加算」の規定がありますが、この規定は相続又は遺贈により財産を取得した者に対して行う規定になりますので例えば孫が相続遺贈により財産を取得しない場合には、3年以内の持ち戻しの対象にはなりません。また、受贈者は未成年者でもなることができます。(親権者が代理人)

まとめ

民法第549条において、「贈与は当事者の一方が、自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することによって、その効力を生ずる。」と規定されており、贈与者による贈与の意思表示と受贈者による受贈の意思表示(受諾)の合致(口頭による場合でも可能)を持って成立する契約行為(「諾成契約」という。)です。そのことからも贈与者(親等)が認知症等によって意思能力がないと認められる場合は法律行為(贈与等)を行うことができないことから早めの(お元気なうちの)対策が重要になります。

贈与があったことを立証できるようにすることも重要です。

金銭の贈与をする場合は現金の贈与よりも預金による振り込みにすると日付と金額の記録が残ります。

なかには、あえて贈与税の申告をしている方もいらっしゃいます。

 

政府税制調査会は、11月総会で相続税、贈与税の根本的な見直しを提言しその中には、暦年課税制度の年110万円基礎控除見直しも含まれていました。先日発表された令和3年度税制改正大綱にも制度の見直しに向けて本格的に検討を進めるとあり、相続税・贈与税については今後制度が見直されていく予定です。

 

さらに詳しく知りたい方へ