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そもそも区分マンションの修繕積立金は経費になるの?

東京の中心で税務を叫ぶ 第88回コラム

 

そもそも区分マンションの修繕積立金は経費になるの?

大家さん
大家さん

そもそも区分マンションの修繕積立金は経費になるの?

大野
大野
今回は、そもそも区分マンションの
修繕積立金は経費になるのかについて
お話しします。

こんにちは!
今回は、区分マンションを賃貸している場合に、
大家さんがマンション管理組合に支払う修繕積立金の取扱いについてお話します。

マンション共用部分の大規模修繕に備えて、
管理費とは別に、毎月、修繕積立金が徴収されます。
結論として、この修繕積立金は、経費に計上できます。

ただし、修繕積立金が、一定の要件を満たしている必要があります。
具体的な要件は以下の通りです。

1.区分所有者が、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負うこと
2.管理組合は修繕積立金について、区分所有者への返還義務を有しないこと
3.修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、
他へ流用されるものでないこと
4.修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、
合理的な方法により算出されていること

通常は、マンションの管理規約において、
上記の要件を満たしていると思いますので、
区分マンションの修繕積立金は必要経費として計上することができます。

ただ、逆に言うと、上記の要件を満たしていなければ、経費にできません。
例えば、一棟アパートを所有している大家さんが、
ご自身で修繕積立金の名目で銀行の定期預金に預けていたとしても、
それは経費とは認められません。

そこで、修繕積立金の代用として、
積立金の掛金が経費となる制度を利用する方法が考えられます。

個人の場合
・小規模企業共済(事業的規模が必要、サラリーマン大家さんは加入不可)

法人の場合
・倒産防止共済(セーフティ共済)
・生命保険や医療保険

また、個人、法人ともに使用できる制度として、
令和3年11月から「賃貸住宅修繕共済制度」が始まりました。

この共済制度を利用すると、事業的規模あるかないかを問わず、
賃貸住宅の共済掛け金を全額経費に計上できます。
また、共済金の請求権を相続や売却の際に引き継ぐことが可能ですので、
相続前での加入や、売却を検討している物件でも加入しやすいと思います。

ただし、下記のようなデメリットもあります。
・事前に修繕してからでないと加入できない
・毎年、事業費が徴収される
・途中解約ができない
・大家さん自身が業者を指定できない

特に、修繕する業者を指定することができないので、
工事費が高くなってしまう恐れがあります。
掛金が経費になるからといって安易に加入せず、
コストアップにならないか事前に検証しましょう。

まとめ

①区分マンションの修繕積立金は、経費になる

②通常の賃貸不動産は、修繕積立金を経費にできないので、
代用できる制度を上手に活用しましょう。

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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。

ABOUT ME
大野晃男
1979年12月生まれ。 資格専門学校の簿記講師を経て税理士法人に勤務。 その後、自動車部品製造会社の経理として働く。 実家がサラリーマン大家さんだったことから、 渡邊浩滋総合事務所に興味を持ち、入所。
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