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岩松正記の数字・大事・いい感じ!
第二十八回「賃貸経営と消費税増税(2)」

消費税増税が大家業に影響を与える点について、今回は大家さんが頻繁に直面するであろう入居者の退去時における注意点を述べます。

1.原状回復費用には消費税がかかる

(1)原状回復費用とは?

畳替えやクロスの張替え、鍵の交換費用や清掃費用など、入居者が退去する際に大家さんに支払う負担金額のことを「原状回復費用」と言います。これをいただくのは大家業の常識と言っても過言ではありません。ほとんどの場合は管理会社経由でその受領が行われます。

(2)なぜ課税される?

この原状回復費用の受取りには消費税がかかります。すなわち、この収入は消費税の課税売上というわけですが、これは

・原状回復費用が入居者の負担の場合、本来は入居者自身が業者に依頼して原状回復工事を行う

・しかし現実には、大家(またはそれを管理会社が代行)が入居者に代わって原状回復工事を行う

・これは大家が入居者にサービスを提供したことになる
(消費税法上の用語で「役務の提供」)

・サービスには消費税が課せられる

・原状回復費用として受け取った金額はサービスに対するもの

だから消費税が課税される、という理屈になります。

2.経理処理には注意が必要

(1)相殺する場合の処理は?

原状回復費用は家賃の1ヶ月分などと決まっているわけではなく、契約によって金額はまちまちです。多くの場合は敷金や保証金などと相殺されますが、その敷金や保証金には消費税がかかっていないため、差額を返還する場合、その差額には当然に消費税はかかりません。

ただし、もし何の条件もなく敷金や保証金の全額を返還しないという場合、その収入は住宅の場合は家賃同様非課税売上テナント等の場合には課税売上となるので注意が必要です。

(2)簡易課税の場合はより注意

大家さんが消費税の課税事業者で簡易課税を選択している場合、その課税区分はたいていの場合、第六種(不動産業)になります。しかし原状回復費用という収入については、それが建物の階層やクロスの張替えなどですと第三種(建設業)畳の張替えや清掃などは第五種(サービス業)に該当するとされています。いずれも第六種で消費税を計算するよりも税額が少なくなるので、気を付けたいところです。

なお、これらは消費税の課税事業者で無ければ影響はありません。しかし消費税は今は課税事業者でなくても取引金額次第で後に課税事業者になる場合もありますので、現在は課税事業者でなくても、念のため確認しておいた方が良いでしょう。

3.まとめ

消費税増税は大家業にとってあらゆる場面で影響が出てきます。
自分には関係ないなどと言わず、常に関心を持つようにしましょう。

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岩松正記
岩松正記
相談指名数東北・北海道地区1位になったこともある税理士。 山一證券の営業、アイリスオーヤマの財務・マーケティング、ベンチャー企業の上場担当役員等10年間に転職4回と無職を経験後に開業。地方在住ながら東京から米国・東南アジアにまで顧客・人脈を持つことから、税務だけでなく様々な投資情報の提供も行っている。ロータリークラブ、青年会議所等で役員を歴任。 税理士会の役員に就く他、元査察の税理士に仕えていたため税の世界の裏事情にも詳しい
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