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そもそも大家さんはインボイス登録しないとダメ?

東京の中心で税務を叫ぶ 第91回コラム

そもそも大家さんはインボイス登録しないとダメ?

大家さん
大家さん

そもそも大家さんはインボイス登録しないとダメ?

大野
大野
今回は、大家さんのインボイス登録について
お話しします。

こんにちは!
今年の10月からインボイス制度が始まります。
インボイス登録は義務ですか?
と聞かれることがありますが、

答えはNOです。

義務ではありませんので、
登録しなくてもペナルティはありません。
登録するとその時から課税事業者(消費税の納税義務がある人)になりますので、
注意してください。

登録するか迷っている大家さんは、
まずは課税売上があるか確認してみましょう。
住宅の家賃収入は非課税ですので、
主な課税売上は、テナントや事務所として貸している場合の家賃収入です。

テナントや事務所がある場合は、
管理会社などを通じて、大家さんがインボイス登録しなくても、
テナントさんに影響がないか聞いてみましょう。

なぜなら、大家さんがインボイス登録していないと下図のように、
テナントさんの消費税負担が増える可能性があります。

今まではテナントさんが支払った家賃110万円のうち、
10万円は消費税として大家さんに支払い済みなので、
国に消費税を納めるときには、その10万円分消費税を減額できていました。

10月以降は、大家さんがインボイス登録していないと、
テナントさんが支払った家賃110万円の中には
消費税が含まれていないとみなされてしまいます。

すると、テナントさんは今までより10万円多く
国に消費税を納めることになってしまいます。
この場合の大家さんの選択は下記の2つが考えられます。

①インボイス登録して課税事業者となる
②家賃のうち消費税分10万円を減額してあげる

まずは②を検討してみましょう。

なぜなら、令和8年までの3年間は、
大家さんがインボイス登録していなくても、
テナントさんは今までの消費税の金額の8割は減額できる経過措置があります。

よって、テナントさんは、8万円は消費税を減額できます。
大家さんが家賃を減額してあげるとしても
2万円だけ下げてあげれば、テナントさんは損しないことになります。

したがって、すごくざっくりとした言い方ですと、
次の3つのステップで検討するのがよいと思います。

1.テナントさんに状況を聞く
2.大家さんがインボイス登録しないと影響がある場合は、家賃の値下げを検討する
3.インボイス登録を検討する

もし、テナントさんが免税事業者(消費税の納税義務がない人)の場合には、
大家さんがインボイス登録していなくてもテナントさんに影響はありません。

まとめ

①インボイス登録は義務ではないです。

②テナントさんがいる場合は、まずは状況を聞いてみましょう。

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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。

ABOUT ME
大野晃男
1979年12月生まれ。 資格専門学校の簿記講師を経て税理士法人に勤務。 その後、自動車部品製造会社の経理として働く。 実家がサラリーマン大家さんだったことから、 渡邊浩滋総合事務所に興味を持ち、入所。
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