東京の中心で税務を叫ぶ 第92回コラム
相続開始「前」3年以内っていつから?
相続開始「前」3年以内っていつから?
お話しします。
こんにちは!
今回は、税法で使われる「前」と「以前」
という言葉のちがいについてお話します。
相続税の生前贈与加算の制度を例にご説明します。
相続財産には、生前贈与した財産を含めることになっています。
生前贈与を含める理由は、相続直前に相続人に財産を贈与してしまい、
相続財産をあらかじめ減らしてしまえば、
相続税の課税逃れができてしまうためです。
現在は、相続開始前3年以内の生前贈与が対象となっています。
税制改正により、
令和6年1月1日からは7年以内の贈与が対象に変わります。
なお、生前贈与加算は、
相続人に対する贈与が対象なので、
孫など相続人以外の人への贈与は加算する必要はありません。
今回の改正ではこの点には触れていませんので、
今後も、子ではなく、孫に贈与する方法は有効です。
ところで、相続開始前3年というのは、
いつからを指すのでしょうか?
例えば、相続が発生した日(亡くなった日)が、令和5年1月1日だったとします。
この場合、令和2年1月1日~令和5年1月1日の間に贈与した財産が対象となります。
相続税法の規定には、相続開始「前」3年と書かれています。
「前」と書かれていた場合、令和5年1月1日を含まずに、
令和4年12月31日から数えます。
令和4年12月31日から3年さかのぼるので、
令和4年1月1日~令和4年12月31日→1年
令和3年1月1日~令和3年12月31日→1年
令和2年1月1日~令和2年12月31日→1年
合計で3年になります。
もしこの規定が、相続開始「以前」3年と書かれていたらどうでしょう?
「以前」と書かれていると、令和5年1月1日を含んで数えます。
この場合、令和2年1月2日~令和5年1月1日の間になります。
令和5年1月1日から3年さかのぼるので、
令和4年1月2日~令和5年1月1日→1年
令和3年1月2日~令和4年1月1日→1年
令和2年1月2日~令和3年1月1日→1年
合計で3年になります。
ちなみに、「後」と「以後」も考え方は同じです。
「後」はその日の次の日から数えます。
「以後」はその日から数えます。
税法ってややこしいですね…。
まとめ
①「前」と「以前」では数え方が異なります。
②令和6年からは、相続開始前7年以内の贈与が、
生前贈与加算の対象となります。
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