東京の中心で税務を叫ぶ 第93回コラム
法人設立直後は相続税が高くなるってほんと?
法人設立直後は相続税が高くなるってほんと?
お話しします。
こんにちは!
今回は相続対策でいずれ法人を設立しようと考えている方へのお話です。
法人化する場合、通常は、個人で所有している賃貸不動産を、
新設法人に売却して移転します。
ただ、実は、法人を設立した直後は相続税が
逆に高くなってしまうケースがあります。
どういうことなのかお話していきます。
法人化して、個人が不動産を直接保有するのではなく、
法人の株式で保有する方が、一般的には相続税が下がります。
法人の株価の計算は、純資産価額方式(会社の財産から債務を差し引く方法)と
類似業種比準価額方式(同業の上場会社の株価の平均値と比較する方法)
の併用で計算します。
細かい計算方法は省略しますが、
このうち類似業種比準価額は、
株価が低く計算されることが多いため、
併用することで株価を下げられる効果があります。
ただし、この類似業種比準価額の併用が認められないケースがあります。
それは他の会社とは異なる特殊な状況にある会社です。
例えば、会社を開業して3年未満の会社がそれに該当します。
開業直後は様々な投資を行ったり、
売上が少なかったり、通常の稼働状態とは言えないため、
他の会社と比較する方法は適用できないことになっています。
そのため、設立・開業直後の会社は、
純資産価額のみでの計算となり、株価が高くなる可能性があります。
ちなみに3年未満かは、
開業日から亡くなった日までで3年経過しているかで判断します。
さらに、賃貸不動産を法人に移転した直後は、
純資産価額方式で計算する株価も通常より高くなる可能性があります。
株価の計算上、通常は不動産は路線価や固定資産税評価額を使用して計算しますが、
取得後3年以内の不動産は、時価をベースに計算します。
時価の方が高いことが多いので、
その場合は、通常より株価が高くなります。
このように法人化直後は、相続税が高くなる可能性があります。
相続までに十分な時間があるかどうかも考慮して法人化を判断するのが良いでしょう。
まとめ
①開業して3年、物件移転して3年経っていない場合は、相続税が高くなる可能性があります。
②相続が間近に迫ってからの法人化は、逆効果になる可能性があるので慎重に判断しましょう。
大野税理士の他のブログはこちらから
楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。