東京の中心で税務を叫ぶ 第96回コラム
マンション買って相続税節税ってもうできないの?
マンション買って相続税節税ってもうできないの?
こんにちは!
令和5年9月28日に国税庁より
「居住用の区分所有財産の評価について」
という新しい通達が出されました。
マンションを購入して相続税を下げるというスキームが流行っていたため、
今回の改正で封じられることになりました。
〇節税になる理由
不動産の相続税の評価額は、
土地は路線価、建物は固定資産税評価額をもとに計算されます。
マンションについては、現在、この相続税評価額と、
実際に売買されている市場価格が大きく離れています。
実際にニュースで紹介された事例では、
1億1,900万円で販売していたタワマンを購入したところ、
相続税評価額は3,720万円となったケースがあります。
価格が1/3以下になっています。
このケースでは、タワマンを購入せずに相続した場合の相続税は、
1,790万円だったものが、タワマン購入により、
相続税が12万円に下がりました。
このように、現在はマンションを購入することで、
相続税を大きく節税できる状況となっています。
〇改正の背景と内容
令和4年4月の最高裁判決では、路線価で計算した評価額が否認されて、
納税者が敗訴する事例も発生しました。
この判決は、市場価格と相続税評価額の差が大きいこと自体が問題ではなく、
それを利用するためにあらかじめ銀行と相談して企画して実行したために、
租税回避と認定されました。
ただ、この判決の影響もあり、
今回の改正で、相続税評価額が市場価格の6割以下にはならないように変更されました。
実際に適用されるのは、
令和6年1月1日以降の相続や贈与から適用されます。
新制度は、築年数、総階数、所在階、
専有面積の4つの要素を加味して計算します。
今後のマンションの評価額は、
築年数が浅いほど上がる、総階数が高いほど上がる、
高層階に住んでいるほど上がる、
専有面積が大きいほどあがることになります。
ただし、下記のマンションは対象外となります。
・一棟全体を購入した場合
・総階数が2階以下の場合
・商業用の場合
・二世帯住宅のため区分所有の場合
・棚卸資産の場合
まとめ
①令和6年からはマンションの購入価格と相続税評価額の差を
利用した大きな節税はできなくなります。
②仮に、賃貸物件購入で相続税を下げられたとしても、
キャッシュフローが赤字の物件だと、相続した人が苦労します。
相続税対策の物件購入はよく考えてから実施しましょう。
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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。