東京の中心で税務を叫ぶ 第96回コラム
マンション評価方法改正で相続税はどのくらい上がるの?
マンション評価方法改正で相続税はどのくらい上がるの?
こんにちは!
相続税や贈与税を計算する際、マンションの令和5年までの評価方法は、
土地(敷地利用権)は、路線価で評価、建物(区分所有権)は、
固定資産税評価額で評価していました。
令和6年1月1日以降の相続税、贈与税の計算をする際の評価方法は、
下記に変更になりました。
「従来の評価額×評価乖離率×0.6」
評価乖離率とは、マンションの市場価格と、
評価額を比べたときにどのくらいの乖離があるか、
その倍率を表したものです。
評価乖離率の計算方法は下記です。
「築年数×△0.033+総階数÷33×0.239+所在階×0.018+敷地持分狭小度×△1.195+3.220」
かなりややこしい計算式ですが、築年数、総階数、所在階、専有面積の4つの要素を加味して
計算しています。
従来の評価額にこの評価乖離率をかけると、
理論上の市場価格が計算されるという建付けです。
この理論上の市場価格(従来の評価額×評価乖離率)の
60%を評価額とすることになりました。
ただし、必ずこの計算式で計算するとは限りません。
従来の評価額の方が、理論上の市場価格より高い場合は、
理論上の市場価格を評価額とします。
従来の評価額が、理論上の市場価格の60%以上であれば、
従来の評価額のままとなります。
つまり、従来の評価額が、理論上の市場価格の60%未満のときは、
60%まで引き上げられることになります。
具体例で令和5年と令和6年の評価額を比較してみます。
(例)
築年数12年、総階数42階、所在階24階、専有面積67.77㎡のタワーマンション
従来の評価額 土地946万円、建物1,196万円
今回のケースでは、2,210万円増えましたので、
評価額が倍以上になるということです。
このように評価が上がる見込みのマンションがある場合は、
相続時精算課税を利用して、令和5年中に贈与をしておく方法が考えられます。
相続時精算課税は、親から子(または孫)へ生前贈与する場合に適用できます。
生前贈与した財産も最終的には、相続税の計算に含めて計算される制度です。
ただし、相続税の計算に含める財産の価格は、生前贈与をした時の価格となります。
つまり、令和5年中に生前贈与しておけば、令和6年以降に相続が発生したとしても、
令和5年の評価額で相続税を計算することになります。
上記の事例で言うと、2,142万円で相続税の計算をすればよいことになり、
相続税を低く抑えることができます。
まとめ
①令和6年以降のマンションの評価額は、最低でも時価の60%となります。
②令和6年以降の評価額が大きく増加する見込みの方は、
令和5年中の生前贈与を検討することをおすすめいたします。
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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。