東京の中心で税務を叫ぶ 第101回コラム
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インボイス登録せずに物件売買しても大丈夫?
こんにちは!
今回は、物件売却を考えている大家さんからインボイスに関するご質問を頂いたので
回答いたします。
Q
賃貸アパートの売却を考えています。
入居者にテナントさんや事務所はありませんので、
インボイスは関係ないと思い、登録はしていません。
もし買主さんがインボイス登録している場合、
こちらがインボイス登録せずに不動産を売却しても大丈夫でしょうか?
A
まず、インボイス登録するとどうなるか確認します。
登録した年から消費税の課税事業者となり、申告、納付義務が発生します。
下記のような収入が課税売上に該当し、その収入にかかる消費税を納税します。
・テナントからの家賃収入
・駐車場代
・入居者負担の原状回復代、水道光熱費
・建物の売却代金
・太陽光の売電収入
・自販機の収入
今回のケースでは、買主さんはインボイス登録しているので課税事業者です。
次に、インボイス登録しないとどうなるか確認します。
登録しなければ、免税事業者のままなので、
課税売上が発生しても、申告、納付義務はありません。
今回のケースでは、売主であるご自身は免税事業者です。
この状態で、住宅用の賃貸アパートを売却した場合を見ていきます。
まず、免税事業者である売主の立場です。
建物の売却代金は課税売上となります。
ただ、売主であるご自身は免税事業者なので、納税の必要はありません。
次に、課税事業者である買主の立場です。
課税事業者は、受け取った消費税から支払った消費税を控除して、その差額を納税します。
ただし、今後はインボイス登録していない相手に支払った消費税は
控除できないことになります。
そうすると、買主は建物購入にかかる消費税を支払ったにもかかわらず、
消費税は控除できなくなるので、損をするように見えます。
ただ、実は、住宅用の建物購入にかかる消費税は、
令和2年の税制改正で、相手がインボイス登録しているかどうかに関係なく、
控除できないことになりました。
代わりに、住宅用で購入した建物を3年以内に民泊などの事業用に転用した場合や、
3年以内に売却した場合は、後から消費税の一部を控除できる制度ができました。
この制度を利用したい買主からインボイス登録を求められる可能性は考えられます。
ただし、かなり限られたケースだと思いますので、
住宅用のアパートを売却するためだけにインボイス登録する必要ないと考えます。
まとめ
①インボイス登録すると自動的に課税事業者になる
②居住用アパートの売却のためにあわててインボイス登録する必要はない
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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。